キミのために一生分の恋を歌う③ -extra stage-

「どうして……そんなに優しくしてくれるんですか」
「貴方が真剣だから。ichigoさんにはichigoさんにしか出来ない音楽が必ずあるから。それを私に教えてくれませんか?」
「ーーそれって」
「もし良かったら2日後の私のファーストライブの前に、ichigoさんの歌を聴かせてください」

それはいわゆる前座のお誘いだけど、bihukaほどの人ならそんなの要らないはずなのに。

「ほんとにいいんですか?」
「私たちは歌でしか語り合えないんです。だから迷うなら、歌いましょう。怖くても不安でも、前だけを見て舞台にあがりましょう。それがきっと答えになる」
「……謹んでお受けします。ありがとうございます!!」

あたしは泣きながら、bihukaの手を改めて握った。

「頑張ってね。楽しみにしてる」

そう言って、bihukaは去っていく。
いつもなんでもないみたいに、軽やかで。
苦しみなんて何も知らないみたい。
そう思ってたけど、bihukaはやっぱりすごい。
やっぱり届かない。
だけどーー

「あたしは、あたしにならなきゃ」

あたしにしか出来ない”いま”を全力でぶつける。