『以上でbihukaさんのリハーサル予定通り全て終了になりまーす』
リハーサルは1時間ほどで終わった。
3曲は全部本当に良かったけれど。
あたしは特に2曲目の『dearest』が一番好きだと思った。
アイドル売りの自分じゃ絶対に歌いこなせない、人魚姫モチーフの難しい歌。
bihukaは17歳で今のあたしとふたつしか違わないのに、神秘的ですごくすごく遠い存在に感じた。
「あたし、bihukaと話してみたい」
だけど、bihukaの歌を聴いてから、ずっと鳴り止まない。
ふつふつと湧いてくるこのキモチに。
なんて名前をつけたらいいんだろ。
「行ってきなさい。ぶつかって解ることもきっとあるから」
マネージャーに背中を押されて、だからあたしは迷うことなくbihukaの元へ走った。
「bihuka!! ……さん」
bihukaとその隣にいるあたしと同じ年くらいの女の子は直ぐに振り向いてくれた。同じ年くらいの女の子が先に言葉を返してくれる。
「どうしました?」
「あたし、西園寺プロモーションのichigoって言います! 今日は見学させてもらってました」
「あぁ、お姉ちゃん。この方この間Pステに出てたよ」
「ーーichigoさん?」
bihukaにその声で名前を呼ばれただけで、ドキドキしてしまう。
「あたしーーアイドル売りされてて。でも本当はbihukaみたいな歌を歌いたくてって……思ってました。今日のさっきまで。でも今日聴いて解りました。あたしにはーー」
叶いっこない、遠い夢のような人。
憧れの人なんだって。
そう言おうとしたのに、bihukaは急にあたしの手を握った。
震える手を。
「自分を卑下しないで。自信を持って。だってほらこの手。震えちゃうくらい、悔しかったんだよね。きっと今までそれだけ本気で頑張ってきたから、だよね?」
新曲を出す度にミリオンヒット。
YouTubeでは億再生。
そこら中にbihukaの音楽が溢れてる、そんな世界。
しかも、とんでもなく可愛くて、美しくて、なのに儚い。
なんで、こんなに何でも持ってそうな人が、あたしの気持ちを解ってくれるのーー?
リハーサルは1時間ほどで終わった。
3曲は全部本当に良かったけれど。
あたしは特に2曲目の『dearest』が一番好きだと思った。
アイドル売りの自分じゃ絶対に歌いこなせない、人魚姫モチーフの難しい歌。
bihukaは17歳で今のあたしとふたつしか違わないのに、神秘的ですごくすごく遠い存在に感じた。
「あたし、bihukaと話してみたい」
だけど、bihukaの歌を聴いてから、ずっと鳴り止まない。
ふつふつと湧いてくるこのキモチに。
なんて名前をつけたらいいんだろ。
「行ってきなさい。ぶつかって解ることもきっとあるから」
マネージャーに背中を押されて、だからあたしは迷うことなくbihukaの元へ走った。
「bihuka!! ……さん」
bihukaとその隣にいるあたしと同じ年くらいの女の子は直ぐに振り向いてくれた。同じ年くらいの女の子が先に言葉を返してくれる。
「どうしました?」
「あたし、西園寺プロモーションのichigoって言います! 今日は見学させてもらってました」
「あぁ、お姉ちゃん。この方この間Pステに出てたよ」
「ーーichigoさん?」
bihukaにその声で名前を呼ばれただけで、ドキドキしてしまう。
「あたしーーアイドル売りされてて。でも本当はbihukaみたいな歌を歌いたくてって……思ってました。今日のさっきまで。でも今日聴いて解りました。あたしにはーー」
叶いっこない、遠い夢のような人。
憧れの人なんだって。
そう言おうとしたのに、bihukaは急にあたしの手を握った。
震える手を。
「自分を卑下しないで。自信を持って。だってほらこの手。震えちゃうくらい、悔しかったんだよね。きっと今までそれだけ本気で頑張ってきたから、だよね?」
新曲を出す度にミリオンヒット。
YouTubeでは億再生。
そこら中にbihukaの音楽が溢れてる、そんな世界。
しかも、とんでもなく可愛くて、美しくて、なのに儚い。
なんで、こんなに何でも持ってそうな人が、あたしの気持ちを解ってくれるのーー?


