キミのために一生分の恋を歌う③ -extra stage-

「それじゃあ小夏、そろそろ行こうか」
「うんっ」

晴が荷物を持ってくれる。
こんなに嫌で苦しくて悲しいことも沢山あった病院だけど。今は少しだけ名残惜しい。

「小夏っ!」
「ん?」
「うち……小夏にはずっと小夏でいてほしい。どこに居てもうちらは親友だよ?」

ぎゅうっと、すみちゃんが私を抱きしめてくれる。
私はすみちゃんを抱きしめかえす。

「もちろん。私たちはどこにいても繋がってるよ。そう信じてる」
「お姉ちゃん、私も!!」
「はいはい……小春は甘えん坊だね。いつでも会いに来ていいから。私も会いたくなったらすぐ会いに行くね」
「うん……うん……」

小春の頬を流れる綺麗な涙を指ですくう。

「小夏さん、君はこれまでもこれからもどこにいても表現者だ。君が奏でる音はどこにいても、俺たちの心にきっと届くよ。だから君や君の奏でる音楽に会えることを楽しみにしてる」
「はい、東条先生。私は先生の言葉に恥じないように、きっと成し遂げてみせます」
「小夏ちゃん、元気でいるんだよ。絶対に絶対に、約束だからね」
「ゆかさんも。東条先生と仲良くしなきゃダメだよ。すぐ怒っちゃダメだよ。ゆかさん、ゆかさんは……私のもう一人のお母さんみたい。だからいつも笑っていてね」
「うっ、小夏ちゃん……」

ゆかさんもハンカチで目を覆う。
きっとこうして泣かせちゃうから、寂しくて最後まで言えなくてごめんね。