昼、リビングで晴乃が本を読んでいると、
「そんな困るわっ」
と言う望都子の声が聞こえてきた。
「楽しみにしててねって言っちゃったのよっ」
スマホを握った望都子は、相手の話に頷きながら、落ち着かなげにこちらにやってくる。
折り紙で遊んでいる娘を見、その側のソファにいる晴乃を見た。
「わかったわ。
仕方ないわね。
娘さん、お大事にね。
いいわよ。
代わり、見つかったから」
……なんの代わりだ?
晴乃は、こちらを値踏みするように見ている望都子の視線に戦慄する。
スマホを下ろし、片腰に手をやった望都子が晴乃に向かい言った。
「ちょっと、シンデレラ」
どんな呼び方ですか。



