二人は山を走って下りた。
山の空気は冷たく、まだ暗い。
「今こそ、クマか、空飛ぶ蛇が出そうだな」
「そうですねー。
朝だから大丈夫だと思いましたが、まだ結構暗いですね」
そんなことを話しながら二人、調子を崩さないよう、一定のリズムで走る。
だが、半分過ぎたくらいから、さすがに苦しくなってきた。
下り坂なので、つい、スピードが出過ぎるし。
ランニング用のスニーカーじゃないから、アスファルトに直接、足裏を叩きつけている感じで痛い。
そのとき、晴乃の視界に倒れている木や落ちた枝が入った。
「……木が落ちてますね。
あれで、トロッコみたいなの作ったら、速いですよね」
「いや、トロッコ作ってる間に走った方が速いし」
と店長に言われ、
「曲がれなくて、森に突っ込むと思いますよ」
と支配人に言われそうなことをぼんやり晴乃は言う。
疲れていたのだろう。
「そうだなっ。
お前、賢いなっ。
次回、そうしようっ」
と言う充悟も、疲れていたのだろう。
「……次回があったら、あなたたちは、相当なおバカさんよ」
と望都子が聞いていたら、呆れて言ってきそうだったが。



