「お料理覚えようと思います」
晴乃は次の日、電話をかけてきた充悟にそう宣言した。
「やっぱり、このままじゃいけない気がして」
「……そうか」
と充悟は、なにか含むところがある感じに言う。
「仕事もそろそろはじめないとって。
深夜も休みの日も、同じ名前の人から届く迷惑メールを見ながら、そう思ったんです」
「いや、何故……?」
「この詐欺の人ですら、めちゃめちゃ働いてるなって」
「自動で送るようになってるんじゃないのか」
まあ、そうかもなんですけど。
「私、自分磨きのノートをもう一度、書きはじめようと思います」
「……自分磨きのノート?」
「自分を変えるノートですっ。
買って、3ページで挫折してたんですけどっ」
「そうか。
……うん、まあ、頑張れ」
なんかあんまり頑張らないでいい雰囲気だな、と思いながら、晴乃は電話を切った。



