もう結婚しなくていいことに気づかないといいな、と充悟は思っていた。
話さなきゃよかったな。
西子さんやじいさんたちの話、と反省していた。
いやまあ、別に積極的に晴乃と結婚したいとかいうわけではないのだが。
せっかく、話を進めてくれた滉二にも悪いし、と言い訳のように思う。
誰か俺を脅してくれないだろうか。
今すぐ結婚しろと言って、銃でもつきつけてくれないかな、と思わず、一番銃を持っていそうなヒゲの店長を見る。
若いころは、海外をあちこち旅していたという店長は、やっぱり、ちょっと肝が据わっていて、底知れない雰囲気があるからだ。
だが、目が合った店長は微笑み、
「お水ですか?」
と訊いてくる。
……銃を突きつけられるどころか、ずっと親切にされてるな、と気がついた。
「すみません。
ありがとうございます」
と充悟は礼を言う。



