高台にある素敵な喫茶店で、二人は待ち合わせした。
……杏奈を振り切ってくるのが大変だったが。
赤煉瓦造りのいにしえの雰囲気を残した建物から、街が見下ろせる。
四角い提灯がいくつも軒下にさげてあり、夜は雰囲気良さそうだな、と晴乃は思った。
真っ昼間に来てしまったが……。
吹きっさらしのテラス席で二人は立ったまま、頭を下げ合った。
なるほど、噂通りのイケメンだ。
なるほど、噂通りの美女だ、と思いながら。
でも、噂通りロクでもないんだろうな~、とも思っていた。
だが、晴乃はそんな思いを押し隠し、微笑みを浮かべて挨拶する。
それが、一応、人としての礼儀かな、と思ったからだ。
「大出晴乃です」
これだけじゃ、あれかな? と思い、
「……趣味はお茶とお花です」
と古臭いことを言ってみた。



