晴乃とは自宅の近くの喫茶店前で待ち合わせていた。
誰か送ってくるのだろうかと思ったが、晴乃はバスでやってきた。
バス……。
まさか、生ゴミを抱えて?
と思ったが、晴乃はシンプルな黒いバッグ以外、なにも持っていなかった。
「ゴミはどうした?」
と訊くと、
「お義母さまがおやめなさいとおっしゃって」
と言う。
「ゴミ持ってこないと、なにしに来たのかわからないんですけどね」
と言って、晴乃は笑った。
いや、お前、ほんとうにゴミを捨てるためだけに、うちに来る気だったのか、と思う。
「なにか食べてから、うちに来るか?
なにか買って帰って、庭とかで食べるか?」
あ、お庭で食べるの、いいですねーと晴乃は笑う。
通りかかった大学生っぽい二人連れの男が、ほがらかに笑う晴乃を振り返っていた。
そして、うらやましげに、こちらを見る。
そうか。
人から見たら、俺たちはカップルに見えるのか、と思うと、なんだかむずがゆいような、落ち着かない気持ちになった。



