幼なじみが連れてきた結婚相手がすごい俺様だった話

「それで、ちょっと斜め上を見て。

 そう。
 おねえさまはその角度が一番お美しいです。

 初めてお会いしたとき、テラスで、私たちを無視して、斜め上を見てらしたおねえさま。

 今まであった中で一番高貴でお美しい方だと思いました」

「浮世離れしてるだけじゃない?」
と黙って聞いていた望都子が言う。

「やっぱり、私が妹になるなんて嫌なんだわ。

 ああ、こんなところでやっていけるだろうかと思ったとき、お父さまが、
『晴乃』
と呼びかけられました。

 すると、おねえさまは、ようやく私たちに気づかれたように、こちらを向いて、微笑まれたのです。

 そして、斜め上を指差しておっしゃいました。

『まるまるとした鳩が枝に――』

 あのときの慈愛に満ちた微笑みは忘れませんわ!」

 そこで、望都子が言った。

「そうねえ。
 ある意味、忘れられなかったわね。

 これから家族になろうかという、しかも、実母と仲の悪い女が目の前にいるのに、あの浮世離れ感。

 私は、この子とこれから暮らすのか、と思ったら、気が遠くなったけどね」

 これからは甘やかさないわ、と望都子は宣言する。