苦しいのは、君が笑うから


 眠かったから二度寝しようかとも思ったけど、そのまま起きておくことにした。
 もう一度寝てしまえば、今度はどんな温かい思い出を夢に見るか分からないから。


 今さら思い出したところで、辛いだけで、どうせ意味なんてないんだ。


「君の誕生日は盛大なパーティーを開きたいなんて言ったけど、結局祝えずじまいだったな」

 
 君に会えなかったから、この計画もあやふやなまま終わってしまった。
 一瞬、本人()のいない誕生会を開こうか割と真剣に迷ったのは、君には絶対に内緒だ。


 
 「お誕生日おめでとう」の一言すらも言えなかったけど、寂しかったのは私だけ?


 今でも好きなのは私だけ?
 君のことを考えて泣いてるのは、私だけ?



 君は、もう私のことなんて忘れちゃったかな。