バックアップ失敗事件から、3か月。



 
 君のいなくなった日々は、驚くほどに退屈だった。 
 

 

  
 誰にも話しかけず、誰にも話しかけられず、教室の隅っこでひとり、お弁当を広げる。
 つまらないし、味気ないけど、今さら寂しいなんて思わない。


 だって、このひとりぼっちの繰り返しが、常に私の日常だったから。


「バレンタイン、誰かにあげる?」
「サッカー部のイケメン先輩に渡したいなー、とか思ってる」


 名前も知らないクラスメイトたちの雑談を、今日も聞き流す。


 そっか、もうすぐバレンタインか。どうりで学校中がソワソワしていたわけだ。


「あぁ、羨ましい!こちとら、昨日彼氏に振られたばっかりだっての」
「しょうがないな〜、うちらの友チョコで良ければあげますよ」

 
 季節がめぐる度に。

 定期テストやら模試やらで誰かが悲鳴を上げる度に、クリスマスやらバレンタインやらで誰かが笑う度に。


 君がいれば、って何度思っただろうか。



 もしも、君が隣にいたなら、一緒にテスト勉強でもしたかった。クリスマスは2人でお祝いして、バレンタインではチョコを交換する約束をして。

 
 君さえいれば、このくだらない日々も、かけがえのない宝物になっただろうに。