苦しいのは、君が笑うから

 
 今までは、別に良かった。

 大切な会話履歴も、手放したくない写真も、親友と呼べるような友達も何一つ持っていなかったから。

 でも、今は駄目だ。君との会話も、君が好きだと言ってくれた私の拙いイラストも、君がくれた言葉ぜんぶ、君が見せてくれたものぜんぶを覚えていたいのに。

 

 私は、どこから間違ってたのだろうか。

 
 この年になるまで、親友と呼べる存在がいなかったところだろうか。
 あの時、君と出会ったことだろうか。
 それとも、仲良くなった相手が、君だったこと…?



 もう、何も分からない。何も信じていたくない。

 だって、君ですら。私の手を取ってくれた、眩しい方へ連れて行ってくれた君ですら、私を裏切ったのだから。



 君から裏切られたこと。連絡先も、ブロックされたであろうこと。



 誰よりも弱い私は、認めたくない真実に、背を向けた。


「…また、テストが終わったら話そうね」



 そうだよ、「テスト」なんて幾らでもあるんだから。
 

 君の言葉みたいに、信用性のないその言い訳に無理があることは、自分でも分かりきっていた。