「実はさ、来週3つも試験あるんだよね」

 明日の天気くらい、なんでもないことのように君は告げる。確か、君にとって、すごく大事な試験だったはずだ。それなのに、私と話していて大丈夫なのだろうか。

 
 きっと、私と話す時間が君にとって息抜きになっているんだ。
 
 
 どこまでも生意気で、傲慢で、幼かった私は、そうやってまた現実から目を背けた。
 私も、試験を目前に控えていたのは一緒だったから。
 
 
「えぇ、それは大変、だね」
「まぁね。でも、将来の夢のためだし」
「そっかぁ。やっぱすごいね……」


 私は友達も少なくて、会話が下手だから、相槌も上手くは出来ない。

 それでも、君は私との会話でたくさん、たっくさん笑ってくれたよね。



 君なりの社交辞令だったのかもしれないけど、あれ、すごく嬉しかったんだよ。
 

 つまらない返事ばかりでごめんね。
 これでも努力してたの。