苦しいのは、君が笑うから。
 悲しいのは、君に会いたいから。
 嬉しいのは、君が隣に居るから。
 寂しいのは、君が見つめるのが私じゃないから。


 分かってたよ。君の1番にはなれないこと。
 君の瞳が映すのは、いつだって私じゃない。


 君の隣で楽しそうに笑うあの子が、君と出会ったのは、私よりずっとずっと後だったのに。

 

 君から先に話しかけてきたくせに、私は取り残されてひとりぼっち。


 昔読んだ神話に出てくるお姫様は、王子様が怪物のいる地下の迷宮に入る時に、大きな毛糸玉を渡したのだという。王子様が、糸を辿って戻ってこれるように、と。
 

 私は……どうだっただろうか。



 誰よりも大切だって、あの時君は言ってくれた。
 今は離れ離れにはなるけど、必ず戻ってくるからねって。



 全部、嘘だったじゃん。
 


 迷宮の奥深くまで毛糸を辿って、君を探したけど、足跡はあるのに、その先に君は居なくて。



 ねぇ、苦しいよ。会いたいよ。
 もう一度でいいから、話したいよ。

 なんで私を置いて行ったの。