雷が首にかけていたタオルで口元を隠した。
「めっちゃかわいい」
「……はっ?!」
雷が力を緩めた。
「まー、わからなくもねーわ。
あの車、内装に金かけ過ぎてて車に思えねーよな」
雷がクスッと笑った。
なんか変な気持ちになった。
変…というより、混乱?
私ってブスでバカでこの世に要らない人間だったはず。
周りの皆に嫌われて、
イライラされて、
社会からも必要とされてなくて
いつも一人で、
ごみ屋敷と一緒に社会から断絶されたごみの一部だったはず。
なのに、この人は私を心配してくれた…
助けてくれた…
いつもうざがられる私に
かわいいって言ってくれた。
どう反応したらいいんだろう。
「お前さ、なんか困ったことあったら、
ちゃんと他人に助けを求めろよ」
助け…
「でも迷惑がられるだけだし」
そういうのは子供の頃に悟ったんだから。
周りの人は誰も助けてくれないって。
「あー、言い方が悪かったな」
雷は腕の力を弱めた。
「なんか困ったことあったら
俺に言え」



