弁護士!!?
こんな人が!?

どう見ても弁護される側の見た目じゃん。

いや、失礼だな。

「なんか、ごめんなさい」

彼は私の足にサンダルを履かせると立ち上がる。
男性に靴を履かせてもらうなんて初めてで、ドキドキした。
見た目や言葉遣いは荒っぽいのに、
履かせる手つきは優しい。


「ありがとうございます…すみません」
「で?弁償する代わりに働いてくれんの?」
「そもそも、そんなことで許されるんですか?
だって億なんて額、
家事代行で稼げるわけありません…
それに私家事苦手なんです。
料理だってほぼやったことないし…
ご飯炊くのが精一杯」
「ぐだぐだ言ってるけど、
やらない選択肢あんの?」




…………ないな!!

「はい、やります。やらせてください!」
「契約成立」


というわけで、私は久しぶりに就職したのであった。


「あのマンション一棟俺たちの家だから、
おめぇの仕事は全部屋の掃除と洗濯、
あとは俺たち三つ子の食事をつくること」
「あれ全部家ですかっっ?!」
「ん。なに?」


い、いや…でかすぎでしょー!!
金持ちめ…


しかも、この三つ子たち…
そもそも何者?!


不安しかないけど、もうやるしかない。