イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

仕事を終え、アパートの階段を上がる。

いつもと変わらない夕暮れ。
街のざわめきも、風の冷たさも、日常の一部だった。

けれど――
玄関前で、ふと違和感が走った。

(……あれ?)

足元。
ドアマットの位置が、わずかにずれている。

ほんの数センチ。
けれど、毎日そこに立つ自分には、それが異常だとすぐにわかった。

朝、出るときはまっすぐだった。
ずれたのは、今日のうち。自分が不在の間――誰かが、ここにいたということ。

息が詰まる。

「……気のせいじゃ、ない」

このときばかりは、そう思えなかった。
偶然ではない。風でもない。

それは、確かな“侵入の予感”だった。