昼過ぎ、書類整理と対応済み案件の報告を終えた美香奈は、
一度深く息をついて、湯のみを両手で包み込んだ。
温かい緑茶の香りがふっと鼻をくすぐる。
そのやさしい香りに、自然と呼吸が落ち着いていく。
(あの夜から、まだ日も浅いのに……
こんなに穏やかな時間があるなんて、少し前までは想像もできなかった)
胸の奥に残っている不安や、
ときおり襲ってくる過去の記憶は、まだ完全には消えない。
でも、それでも――
(彼といると、ちゃんと呼吸ができる)
美香奈は、そっとデスクの引き出しを開けた。
中には、支援センターの研修案内と、相談員向けの初回資料が入っている。
支援者として、被害を経験した立場だからこそできることがある。
そう言ってくれた真木弁護士の言葉が、今も心に残っていた。
(わたしに、できるかな……)
その不安を打ち消すように、
彼の声が、ふいに頭の中に浮かんだ。
『俺は、君を守るためなら何度でも立ち向かえる。怖がらなくていい』
(……うん、大丈夫)
自分にそう言い聞かせて、
美香奈は書類のファイルを閉じ、まっすぐに前を向いた。
一度深く息をついて、湯のみを両手で包み込んだ。
温かい緑茶の香りがふっと鼻をくすぐる。
そのやさしい香りに、自然と呼吸が落ち着いていく。
(あの夜から、まだ日も浅いのに……
こんなに穏やかな時間があるなんて、少し前までは想像もできなかった)
胸の奥に残っている不安や、
ときおり襲ってくる過去の記憶は、まだ完全には消えない。
でも、それでも――
(彼といると、ちゃんと呼吸ができる)
美香奈は、そっとデスクの引き出しを開けた。
中には、支援センターの研修案内と、相談員向けの初回資料が入っている。
支援者として、被害を経験した立場だからこそできることがある。
そう言ってくれた真木弁護士の言葉が、今も心に残っていた。
(わたしに、できるかな……)
その不安を打ち消すように、
彼の声が、ふいに頭の中に浮かんだ。
『俺は、君を守るためなら何度でも立ち向かえる。怖がらなくていい』
(……うん、大丈夫)
自分にそう言い聞かせて、
美香奈は書類のファイルを閉じ、まっすぐに前を向いた。



