スマートフォンの着信履歴を眺めながら、
美香奈はゆっくりと部屋を歩いた。
リビングの灯りは点いている。
カーテンも閉められていて、外は見えない。
“静かすぎる”――
そのことに、初めて気づいたのは、ソファの横を通りかかった瞬間だった。
(……こんなに音、してなかったっけ)
冷蔵庫の微かな駆動音。
時折鳴るパイプの空気の音。
普段なら無意識に馴染んでいた生活の音が、
今夜だけは、ひどく浮いて感じられた。
スマホを手に、神谷へかけ直そうとしたそのとき――
「……カチ」
何かが、ほんのわずかに、金属と金属を擦るような音を立てた。
玄関のほうからだった。
鼓動が、ぐんと早まる。
(いまの……何?)
スマホを耳に当てたまま、
目だけが玄関の方角をじっと見据えていた。
電話はまだつながらない。
でも、通話画面の表示すら、今は見えなかった。
ただ、耳の奥で自分の鼓動だけが、やけに大きく響いていた。
美香奈はゆっくりと部屋を歩いた。
リビングの灯りは点いている。
カーテンも閉められていて、外は見えない。
“静かすぎる”――
そのことに、初めて気づいたのは、ソファの横を通りかかった瞬間だった。
(……こんなに音、してなかったっけ)
冷蔵庫の微かな駆動音。
時折鳴るパイプの空気の音。
普段なら無意識に馴染んでいた生活の音が、
今夜だけは、ひどく浮いて感じられた。
スマホを手に、神谷へかけ直そうとしたそのとき――
「……カチ」
何かが、ほんのわずかに、金属と金属を擦るような音を立てた。
玄関のほうからだった。
鼓動が、ぐんと早まる。
(いまの……何?)
スマホを耳に当てたまま、
目だけが玄関の方角をじっと見据えていた。
電話はまだつながらない。
でも、通話画面の表示すら、今は見えなかった。
ただ、耳の奥で自分の鼓動だけが、やけに大きく響いていた。



