ファニレス王宮の客室。
紫水晶の間、とやらに戻るなり。
「…キュレムさん」
「…」
「…キュレムさん。お茶でも淹れましょうか?」
「…あぁ。そうだな…ちょっと頼むよ…」
「分かりましたー」
…悪いな。
正直、ちょっと…いや、かなり。
…心に来るなぁ…。
迫害されている『青カード』…。非魔導師の皆さんが、過去の自分に見える。
散々馬鹿にされ、蔑まれ、無価値な人間だと見下されていた、過去の自分と。
それなのに、今の俺はどうだ?
ただ魔法が使えるってだけで、この国じゃ、さながら御殿様のような扱いだ。
魔導師至上主義なのは知ってるけど。でも、限度があるだろ。限度が。
確かに、この国は良い国だ。
…この国で生まれた魔導師にとっては、だが。
非魔導師にとっては…そして、他の国を知っている、俺達のような外国の魔導師にとっては…。
この国は…地獄以外の何物でもない。
自分は御殿様の扱いを受けられるのだから、非魔導師がどんな差別を受けていようと、見て見ぬ振りをしていれば良いのかもしれない。
この国のほとんどの魔導師は、きっとそうしている。
仮に、ほんの少し良心が痛むことがあっても。
「彼らは魔法が使えないから」と、心の中で馬鹿にして。
勝手に、自分の方が優秀な人種だと思い込んで。
魔導師じゃない人を見下して、蹴飛ばして、優位に立って。
…それで満足か?
そんなことで自尊心を満たして、それで満足か?
余計に虚しくならないか?
俺には無理だ。…とてもじゃないけど、無理。
昔の自分に、唾を吐きかけるようなものだ。
ほんと…。最低の国だよ、このキルディリア魔王国は。
「はい、キュレムさん。お茶入りましたよ」
「ん?あぁ…さんきゅ…。…って、何だこれ」
ルイーシュが差し出してくれたティーカップには。
…黄色い液体が、並々と注がれていた。
…何これ?
「バナナティー、って奴です。どんな味がするか気になったので、淹れてみました」
「ばっ…バナナ…!?」
…あるの?バナナティーなんて。
言われてみれば、ティーカップから立ち昇る、この甘い匂い。
バナナだ。
「…で、お前は何茶?」
「ダージリンティーですけど」
「畜生…。また俺を毒見係にしやがって…」
自分だけ、ド定番の安牌な紅茶を飲んでんじゃねぇ。
お前が気になったんなら、お前が飲めよ。
「どうぞ。飲んでみてください」
「…」
こんな時くらい、普通のお茶飲ませろよ!…と、言いたいところだが。
もうそんな気力もねぇよ。
ほら、バナナジュースって美味しいじゃん?
それなら、バナナティーもきっと美味しい。…はずだ。
俺はティーカップに口をつけ、甘ったるい匂いのする、黄色い液体を口にした。
「どうですか?バナナティー」
「…ん?おぉ…。…悪くない」
「それは良かったです」
結構美味いぞ。バナナティー。
「ただ…ちょっと甘いけど…」
「あぁ。それは俺が追加したガムシロップのせいです。…キュレムさんが疲れてるようだったので、糖分を補給すべきかと思いまして」
「…」
…気遣い、どうも。
紫水晶の間、とやらに戻るなり。
「…キュレムさん」
「…」
「…キュレムさん。お茶でも淹れましょうか?」
「…あぁ。そうだな…ちょっと頼むよ…」
「分かりましたー」
…悪いな。
正直、ちょっと…いや、かなり。
…心に来るなぁ…。
迫害されている『青カード』…。非魔導師の皆さんが、過去の自分に見える。
散々馬鹿にされ、蔑まれ、無価値な人間だと見下されていた、過去の自分と。
それなのに、今の俺はどうだ?
ただ魔法が使えるってだけで、この国じゃ、さながら御殿様のような扱いだ。
魔導師至上主義なのは知ってるけど。でも、限度があるだろ。限度が。
確かに、この国は良い国だ。
…この国で生まれた魔導師にとっては、だが。
非魔導師にとっては…そして、他の国を知っている、俺達のような外国の魔導師にとっては…。
この国は…地獄以外の何物でもない。
自分は御殿様の扱いを受けられるのだから、非魔導師がどんな差別を受けていようと、見て見ぬ振りをしていれば良いのかもしれない。
この国のほとんどの魔導師は、きっとそうしている。
仮に、ほんの少し良心が痛むことがあっても。
「彼らは魔法が使えないから」と、心の中で馬鹿にして。
勝手に、自分の方が優秀な人種だと思い込んで。
魔導師じゃない人を見下して、蹴飛ばして、優位に立って。
…それで満足か?
そんなことで自尊心を満たして、それで満足か?
余計に虚しくならないか?
俺には無理だ。…とてもじゃないけど、無理。
昔の自分に、唾を吐きかけるようなものだ。
ほんと…。最低の国だよ、このキルディリア魔王国は。
「はい、キュレムさん。お茶入りましたよ」
「ん?あぁ…さんきゅ…。…って、何だこれ」
ルイーシュが差し出してくれたティーカップには。
…黄色い液体が、並々と注がれていた。
…何これ?
「バナナティー、って奴です。どんな味がするか気になったので、淹れてみました」
「ばっ…バナナ…!?」
…あるの?バナナティーなんて。
言われてみれば、ティーカップから立ち昇る、この甘い匂い。
バナナだ。
「…で、お前は何茶?」
「ダージリンティーですけど」
「畜生…。また俺を毒見係にしやがって…」
自分だけ、ド定番の安牌な紅茶を飲んでんじゃねぇ。
お前が気になったんなら、お前が飲めよ。
「どうぞ。飲んでみてください」
「…」
こんな時くらい、普通のお茶飲ませろよ!…と、言いたいところだが。
もうそんな気力もねぇよ。
ほら、バナナジュースって美味しいじゃん?
それなら、バナナティーもきっと美味しい。…はずだ。
俺はティーカップに口をつけ、甘ったるい匂いのする、黄色い液体を口にした。
「どうですか?バナナティー」
「…ん?おぉ…。…悪くない」
「それは良かったです」
結構美味いぞ。バナナティー。
「ただ…ちょっと甘いけど…」
「あぁ。それは俺が追加したガムシロップのせいです。…キュレムさんが疲れてるようだったので、糖分を補給すべきかと思いまして」
「…」
…気遣い、どうも。



