神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

めちゃくちゃ、非常に、とてつもなく、気分が悪いが。

…でも、困惑しまくる店員と、店内で不安げな面持ちで、こちらを見つめる客達の視線を受けながら。

それでも駄々をこねて、我を通すような真似はしないし、出来ない。

何度も言うが、今の自分ら、目立つのは厳禁だからな。

「間違えて並んじゃいましたテヘペロ」のノリで、ここは潔く退散するしかない。

「…あー…うん、ちょっと間違えたわ…。色々と…」

「は、はぁ…」

「迷惑かけて悪かったな。去るよ」

俺は、くるりと踵を返し。

なんとも言えないバツの悪さを感じながら、古ぼけたお粥屋を出ていった。

店の前に並んでいたお客達が、不安げな面持ちで俺の背中を見つめていることに気づいたが、俺は振り返らなかった。

とにかく、さっさとこの場から立ち去ることを優先した。

足早に歩き去る俺の背中を、ルイーシュが追ってきた。

充分に、店から距離を取ってから。

ようやく足を止めると、ルイーシュが声をかけてきた。

「大丈夫ですか、キュレムさん」

「…別に…。俺は何ということもないけど?」

「その割には、超不機嫌じゃないですか」

…そりゃ不機嫌にもなるよ。

俺は、ただ胃をスッキリさせる為に、お粥を食べてみたかっただけなのに。

「なんなん?魔導師お断りなら、店の前にそう書いとけよ。看板でも立てておけば」

愚痴ったところでしょうがないとは思いつつも、愚痴らずにはいられなかった。

まぁ、知らずに並んだ俺が悪いんだけどさ。

郷に入っては郷に従え。…ってことなんだろう。

「あぁ、気分悪い。…今日はもう戻ろうぜ、王宮に」

「そうですね」

まぁ、市街地を見て回ったというだけで。

とりあえず、初日の収穫としては充分…ってことにしておこう。

…ルーデュニア聖王国に帰ってきたジュリスが、キルディリア魔王国について、散々愚痴っていた。

その気持ちが、早くも分かり始めてきたよ。