神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

だが、俺達の検討は、まったくの的外れだったようで。

「うわっ、凄い人…!」

「成程。みんなここにいたんですね」

活気を求めて、大通りから少し歩くと。

10分ほど歩いたところで、飲食店街に辿り着いた。

そこには多くの飲食店が立ち並び、お店の前に列を作っていた。

おぉー…。いるいる。人、いっぱいいるじゃん。

この時間からレストランに…。…ってことは。

「成程…。キルディリアの民は、朝飯は外で食べる派なんだな」

そういう文化もある。

「えー…。俺は嫌ですね。朝なんて、ただでさえかったるくて、動きたくない時間なのに…。わざわざ朝食の為に外食するなんて…」

ドン引きのルイーシュ。

おい。そんなこと言うなって。

まぁ、気持ちが分からんこともないが。

「ルーデュニア聖王国では、朝飯は家で食べるのが当たり前だもんな…」

外食と言えば、昼飯か夕飯か…。…朝から外食するというのは、あまり一般的ではない。

だが、国が違えば、食文化が違うのも当たり前である。

成程、大通りに人が少なかったのは、みんな朝飯を食べに行ってたからなんだな。

ルーデュニア聖王国では、そろそろ始業開始時間、学校だったら授業開始の時間だが。

キルディリアでは、1日の始まりはもっと遅いみたいだな。

「みんな、どんなもの食べてるんだろうな…」

「行ってみます?」

「いや、今腹いっぱいだから…」

残念だよ。

明日。明日の朝食は、ここに来て食べようかな。

折角だから、キルディリア国民の気分を味わってみるのも悪くない。

「どんなもの食べてるんだろうな…。サンドイッチとか…?」

「さぁ…。島国ですし、魚介類とか?…俺はあまり魚介類、好きじゃないですけど」

「あぁ…。そういえばそうだったな…」

ルーデュニア聖王国の港町を訪れた時も、「魚は嫌い」とか言ってたっけ。

魚のバチが当たってしまえ。

…すると。

少し飲食店街を歩いていると、店の前に大行列が出来ているお店を発見した。

…おっ?

他の店も流行っているようだったが、あのちょっと古ぼけた、昔の食堂みたいなお店。

あのお店だけ、やたらとたくさん人が並んでいる。

「おいおい、見ろよルイーシュ」

「老舗の名店、って感じでしょうか。それとも価格がリーズナブルなんでしょうか?」

多分、どっちもじゃね?あの大行列を見たら。

お腹はいっぱいだけど、自然と吸い寄せられるように、俺達はそのお店に向かった。

ほら、買う気はなくても、どんな商品が売ってるのか、見てみたいこと、あるだろ?

ウィンドウショッピングならぬ、ウィンドウグルメ、みたいな。

…ただの冷やかしなんだけど。

もし美味しそうだったら、明日行って、食べてみよう。

どうやらそのお店、テイクアウトも出来るらしく。

多くの人がお店の前で、立ったまま、白いプラスチックのお椀に、プラスチックのスプーンで、何かを掬って食べていた。

へぇー。屋台みたいな感覚?

「何食べてんだろ?あれ…」

「スープ?…いえ、違いますね。お粥…みたいな食べ物でしょうか」

「…みたいだな」

遠目からだから、よく見えないが。

確かに、どろどろとした半固形物のような食べ物を食べているように見える。

へぇ。朝からお粥を食べるのか。

分かる。俺も朝から、お茶漬け食べたくなる時あるもん。それと同じような感覚?

何より、さっきまで様々な調味料をふんだんに使った、多彩な味付けの豪華料理を食べたばかりだから。

逆に、シンプルな味わいの白粥が、凄く美味しそうに見える。

…よし。

次の食事は、あれで決まりだな。