これも何かの罠…で、あることを心配していたのだが。
道中、驚くほど何事もなかった。
むしろ、凄く快適だった。
「お飲み物は如何ですか?」とか、「軽食は如何ですか?」とか。
「お疲れではございませんか。少し休憩致しましょうか?」とか、「暑い、寒いなどございませんか?膝掛けをご用意しましょうか」とか。
めっちゃ気を遣われまくり。
人生で、こんなに他人に気を遣われたことはない。
「あ、もう、なんも、構わなくていいっす」と、たじたじになりながら答えた。
学生の頃は、特にイーニシュフェルト魔導学院に入学する前は、気を遣われるどころか。
クラスメイトから、ほぼほぼ「いない者」扱いされてたからな。
ここまでちやほやされると、逆に居心地が悪いって言うか…。
…悪いけど、ちょっと放っといてくれない?って言いたくなる。
言わなかったけどさ。
そうこうしているうちに、段々と王都ファニレスが近づいてきた。
車両の窓から、クリスタルで出来た大きなお城が見えた。
「…あれって…」
「見えましたか?あれが、ファニレス王宮です」
さっきの若い男性が、そう教えてくれた。
あれがファニレス王宮…。
「なんつーか…。…お伽噺みたいなお城ですね」
クリスタルの宮殿なんて、絵本の中でしか見たことないぞ。
「はい。キルディリア魔王国建設時に、初代のキルディリア国王が建設した、歴史ある王宮なんです」
「…」
「建設には多くの魔導師が動員され、キルディリア魔王国の威厳を損なわないよう、後世に残る王宮にしようと、クリスタルの王宮を建設することを提案されたそうです」
「…ふーん…」
そりゃまぁ、御立派なことだな。
でもさ、あれって…。
「…ハリボテじゃね?」
「ハリボテですね」
俺が言い、ルイーシュも同意した。
あれ、全然クリスタルの王宮でも何でもないじゃん。
ただ王宮の周囲を幻覚魔法で覆って、クリスタルに「見せかけてる」だけじゃん。
しかし、この男性は。
「えっ?」
俺達が「ハリボテ」と称しても、きょとん、としていた。
…あぁ、成程。この人は気づいてないんだ。
と言うか、この人だけじゃなくて。
キルディリア魔王国に住んでいる、ほとんどの民草…。非魔導師や一般魔導師達は、気づいてないんだろう。
あれが、幻覚魔法で外見を取り繕っただけの、ハリボテのお城だってことに。
実際の王宮は多分、もっと小さい。それに、クリスタルでも何でもない。
ただの…古ぼけたコンクリートの建物だ。
…だけど、「ファニレス王宮は、わが国の誇り」と思い込んでいる人に。
「いや、あれハリボテですよ」と種明かししたら、気の毒だから。
ここは適当に合わせておこう。
「あ、いや…何でもないっす。綺麗なお城ですね」
「そうでしょう?我が国の女王陛下がお住まいの宮殿なのですから、あのくらいでなくては」
はいはい。自慢話おつ。
あのハリボテ王宮は、王都の何処にいても見えるくらい、巨大な建物だ。
あれほどの大規模な幻覚魔法を、常時展開し続けるのは、相当骨が折れるだろうに。
きっと王宮には、あの王宮の見てくれを維持する為だけに、何人もの優れた幻覚魔法の使い手の魔導師達が雇われているのだろう。
彼らが必死こいて、交代で幻覚魔法を展開させ、女王の見栄張りを手伝っているかと思うと。
何だか、あの荘厳なクリスタルの王宮が、酷く馬鹿らしいものに見えてならなかった。
道中、驚くほど何事もなかった。
むしろ、凄く快適だった。
「お飲み物は如何ですか?」とか、「軽食は如何ですか?」とか。
「お疲れではございませんか。少し休憩致しましょうか?」とか、「暑い、寒いなどございませんか?膝掛けをご用意しましょうか」とか。
めっちゃ気を遣われまくり。
人生で、こんなに他人に気を遣われたことはない。
「あ、もう、なんも、構わなくていいっす」と、たじたじになりながら答えた。
学生の頃は、特にイーニシュフェルト魔導学院に入学する前は、気を遣われるどころか。
クラスメイトから、ほぼほぼ「いない者」扱いされてたからな。
ここまでちやほやされると、逆に居心地が悪いって言うか…。
…悪いけど、ちょっと放っといてくれない?って言いたくなる。
言わなかったけどさ。
そうこうしているうちに、段々と王都ファニレスが近づいてきた。
車両の窓から、クリスタルで出来た大きなお城が見えた。
「…あれって…」
「見えましたか?あれが、ファニレス王宮です」
さっきの若い男性が、そう教えてくれた。
あれがファニレス王宮…。
「なんつーか…。…お伽噺みたいなお城ですね」
クリスタルの宮殿なんて、絵本の中でしか見たことないぞ。
「はい。キルディリア魔王国建設時に、初代のキルディリア国王が建設した、歴史ある王宮なんです」
「…」
「建設には多くの魔導師が動員され、キルディリア魔王国の威厳を損なわないよう、後世に残る王宮にしようと、クリスタルの王宮を建設することを提案されたそうです」
「…ふーん…」
そりゃまぁ、御立派なことだな。
でもさ、あれって…。
「…ハリボテじゃね?」
「ハリボテですね」
俺が言い、ルイーシュも同意した。
あれ、全然クリスタルの王宮でも何でもないじゃん。
ただ王宮の周囲を幻覚魔法で覆って、クリスタルに「見せかけてる」だけじゃん。
しかし、この男性は。
「えっ?」
俺達が「ハリボテ」と称しても、きょとん、としていた。
…あぁ、成程。この人は気づいてないんだ。
と言うか、この人だけじゃなくて。
キルディリア魔王国に住んでいる、ほとんどの民草…。非魔導師や一般魔導師達は、気づいてないんだろう。
あれが、幻覚魔法で外見を取り繕っただけの、ハリボテのお城だってことに。
実際の王宮は多分、もっと小さい。それに、クリスタルでも何でもない。
ただの…古ぼけたコンクリートの建物だ。
…だけど、「ファニレス王宮は、わが国の誇り」と思い込んでいる人に。
「いや、あれハリボテですよ」と種明かししたら、気の毒だから。
ここは適当に合わせておこう。
「あ、いや…何でもないっす。綺麗なお城ですね」
「そうでしょう?我が国の女王陛下がお住まいの宮殿なのですから、あのくらいでなくては」
はいはい。自慢話おつ。
あのハリボテ王宮は、王都の何処にいても見えるくらい、巨大な建物だ。
あれほどの大規模な幻覚魔法を、常時展開し続けるのは、相当骨が折れるだろうに。
きっと王宮には、あの王宮の見てくれを維持する為だけに、何人もの優れた幻覚魔法の使い手の魔導師達が雇われているのだろう。
彼らが必死こいて、交代で幻覚魔法を展開させ、女王の見栄張りを手伝っているかと思うと。
何だか、あの荘厳なクリスタルの王宮が、酷く馬鹿らしいものに見えてならなかった。



