神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

ーーーーーー…こうして。

スパイとして、キルディリア魔王国に潜入する、という重大な任務に、(消去法で)選ばれてしまった、俺とルイーシュ。

御大層な使命を帯びてしまった訳だが。

俺個人としては、ぶっちゃけ、世界の情勢のこととか、どうでも良い。

まぁ、戦争に負けたアーリヤット皇国は、気の毒だなぁとは思うけど。

でも、アーリヤット皇国の…ナツキ様、だっけ?

あの人、妹のフユリ様への嫉妬心のあまり、随分好き勝手なことしてきたじゃん。

イーニシュフェルト魔導学院にも、ちょっかい出してきたしな。

他人に喧嘩売ってんだから、自分も喧嘩を売られる覚悟くらい、当然してるよな?

自業自得って言うんだよ。そういうの。

だから、ナツキ様にはあんまり同情してない。

でも、国民は関係ないしなぁ?

戦争なんて、兵力も財力も消費する、おまけに憎しみを量産するだけで、なんも良いことないと思うけど。

…って思うのは、俺が平和なルーデュニア聖王国に生まれたから、なんだろうけど。

キルディリア魔王国ってのは、めちゃくちゃ不毛な島国らしいし。

あわよくば他国の領土を、って…ずっと思い続けてきたのだろう。

言い分が分からなくもないが。

だが、誰だって自分の平和を害されたくはないだろうよ。

自分勝手かもしれないが、俺はそう思うね。



…って、長たらしい持論はどうでも良い。

それよりも。

「…おい、ルイーシュ。お前さっきから、何やってんだよ。…ってかこの匂い、何?」

「あ、はい?回想終わりました?」

ルイーシュが、スッと顔を上げてこちらを向いた。

そのルイーシュの前の机には、お湯を入れて蓋をした、カップ麺が置いてあった。

…さっきから、鼻腔をくすぐる添加物の匂いは、それかよ。