神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

お出かけ…。

いや、まぁお出かけっちゃあ、お出かけなんだが…。

そんな可愛らしいものじゃないって言うか…。

「ジュリスがお出かけするなら、私も一緒に行きたい」

なんだと。

「いや、ベリクリーデ…。俺は別に遊びに行く訳じゃないんだ。お前は大人しく待ってろ」

「なんで?私も行きたい。ジュリスと一緒が良い」

「あのなぁ…。俺だって、連れていけるものなら連れていきたいけど…。危ないんだって。キルディリア魔王国でどんな目に遭ったか、お前、もう忘れたのか?」

…そういや、ジュリスとベリクリーデは以前、キルディリア魔王国に行ったんだよな。

その時ベリクリーデは、良かれと思って、青カード…非魔導師の証明書を取得し。

そのせいで、随分と辛酸を舐めさせられたと、後になって聞いた。

ベリクリーデのその時のことを思い出して、嫌な気持ちになったんじゃないかと思ったが。

「…??」

…首を傾げていらっしゃる。

「もう忘れたのかよ…。おめでたい脳みそしてんな、お前は…」

「えへん」

「いや、だから褒めてるんじゃなくて…」

…はぁー、と溜め息をつくジュリス。

「とにかく、お前はここで大人しくしてろ。良いな」

「嫌だ」

ベリクリーデは、ぶんぶん、と首を横に振った。

「ジュリスが行くなら、私も行く」

「だ…だから駄目なんだって。今日はやけに頑固だな、お前」

「だって、ジュリスがいなかったら寂しいんだもん…」

「あ、そ…そう…」

あまりにストレートに、「あなたがいなかったら寂しい」と言われ。

さすがのジュリスもたじたじ。

「気持ちは嬉しいけど…。頼むから良い子に留守番しててくれ」

「…私、要らないの?」

「えっ?」

ジュリス、目が点。

何をどう勘違いしたのか、ベリクリーデは、頑なに「留守番していろ」と言われ。

=自分は要らない子、と思い込んだようで。

じわっ、とベリクリーデの瞳に涙が滲んだ。

「私…要らない子なんだ…」

「はっ…!?ちょ、なんでそうなるんだよ?誰もそんなこと…!」

「あーあ。またジュリスがベリクリーデちゃんを泣かせたぞ」

「本当だ。最低ですね」

ジトッ、とジュリスを睨む、キュレムとルイーシュ。

…そんな目で見てやるなって。

「ちがっ…!違うんだって!そういう意味じゃ…!」

「ジュリスが私を要らない子だって言うの。くろってぃ、」

「ちょっと待て!クロッティを呼ぶな。分かった、分かったから!」

…クロッティ?

って、何?

「何処にも行かない。分かった、何処にも行かないから。泣きやんでくれ」

「…ジュリス、一緒にいてくれる?」

「あぁ。一緒にいるよ。…だから、もう泣くな」

「…うん」

ようやく泣き止み、微笑みを見せるベリクリーデ。

良かったな。

…。

…良かった、のか?これ。

「…ってな訳だ。悪い。俺は今回、役に立てそうにない…」

「そ、そうか…。まぁ、しょうがねぇよ…」

ベリクリーデに泣かれちゃ、ジュリスだってどうしようもない。

これは不可抗力というものだ。

でも、そうなると…キルディリア魔王国に向かうスパイ候補は…。

「…え、何?これ、消去法で、俺らが選ばれるっていうオチ?」

この場にいる、全員の視線に気づいたキュレムが。

自分を指差して、思わずそう声を上げた。