「な、ナジュ君っ…?どうして…」
慌てる天音。
「どうしてって、こんな時こそ、僕の読心魔法が生きる時じゃないですか。イシュメル女王のどす黒い腹のうちを、一瞬で暴いて…」
「そんな…!危ないよ、ナジュ君」
「大丈夫、大丈夫。危ない目に遭ったとしても、僕は不死身で…」
「そういうことを言ってるんじゃないって、いつも言ってるでしょっ…!」
珍しく、天音は声を荒らげた。
まったくだ。
もっと言ってやってくれ、天音。
でなきゃこいつは、平気で自分を犠牲にする悪癖が治らない。
「悪癖って…。人をドMみたいに言わないでくださいよ。別に僕は好き好んで犠牲になってる訳じゃ…」
うるせぇ。
「ナジュ君がキルディリア魔王国に行くなら、僕が一緒に行く」
天音は、珍しく強い口調で断言した。
「気持ちは嬉しいですけど、天音さんはポーカーフェイスが大の苦手じゃないですか。スパイなんて務まります?」
「うぐっ…。ぐっ…そ、それは…」
良くも悪くも素直だからな。天音は。
丁度ナジュとは正反対。
「でも…僕は嫌だよ。ナジュ君を一人で行かせるなんて…。…ついこの間だって、ナジュ君がジャマ王国に行っちゃって…ずっと、凄く悲しい思いをしてたのに…」
「…天音さん…」
「お願いだから。もう、一人で危険を背負おうとしないで」
切実な訴えである。
すると、シルナが。
「…えーっと。現実問題として、ナジュ君がスパイになるのはちょっと、難しいと思う」
言いにくそうに、そっと反対案を口にした。
「ほう…?僕のスパイ力を疑ってますか?正体と素性を隠して、イーニシュフェルト魔導学院にも潜入した僕を?」
「あの時は、まったく迷惑なことをしてくれましたね」
当時のことを思い出し、再び怒りを募らせているイレースである。
俺の中では、あれは非常に苦い記憶として残ってるよ。
「そ、そうじゃなくて…。ナジュ君が優れた読心魔法の使い手だってことは、多分イシュメル女王にもバレてるだろうから」
「あー…。…成程」
…うん、俺もそう思う。
「イシュメル女王は、俺とシュニィのことも知っていた。ナジュのことを知っていてもおかしくはないな」
と、無闇。
だろうな。
シュニィと無闇を知っているなら、当然ナジュのことも調べているだろう。
特に、読心魔法なんて稀有な魔法は、当然イシュメル女王も警戒しているだろうから。
ナジュがキルディリアに潜入したとしても、イシュメル女王は心を許さないはずだ。
「ふむ…。成程、それじゃあ僕は活躍出来そうにありませんね」
「あぁ。気持ちだけ受け取っとくよ」
「…はー」
…何で残念そうなんだよ。
一方天音は、ナジュがスパイ候補から外れたことで、露骨にホッとしているようだった。
そして、次に名乗りをあげたのは。
「じゃ、スパイは俺達だねー」
「潜入に必要なものを用意してくるね」
すぐりと令月は、当たり前のようにそう言って、部屋を出ていこうとした。
ちょっと待て。
「お前ら!勝手に出ていこうとするんじゃない。止まれ!」
「え、なんで?」
「大丈夫だよ。本職は暗殺者だけど、潜入任務なら得意分野だから」
ふざけんな。お前らの本分は学生だ。
潜入しなくて良いから。真面目に学生やってろ。
「お前らは駄目に決まってるだろ!学院で大人しくしとけ」
そう言うと、二人共心底驚いたように目を見開いた。
「…そんな不思議そうな顔をするなよ」
「なんで?この中で一番スパイに向いてるの、どう考えても俺達だよ?」
…その一点に関しては、確かに反論のしようがないが。
でも、お前達に危険な潜入任務を任せる訳にはいかないんだ。
慌てる天音。
「どうしてって、こんな時こそ、僕の読心魔法が生きる時じゃないですか。イシュメル女王のどす黒い腹のうちを、一瞬で暴いて…」
「そんな…!危ないよ、ナジュ君」
「大丈夫、大丈夫。危ない目に遭ったとしても、僕は不死身で…」
「そういうことを言ってるんじゃないって、いつも言ってるでしょっ…!」
珍しく、天音は声を荒らげた。
まったくだ。
もっと言ってやってくれ、天音。
でなきゃこいつは、平気で自分を犠牲にする悪癖が治らない。
「悪癖って…。人をドMみたいに言わないでくださいよ。別に僕は好き好んで犠牲になってる訳じゃ…」
うるせぇ。
「ナジュ君がキルディリア魔王国に行くなら、僕が一緒に行く」
天音は、珍しく強い口調で断言した。
「気持ちは嬉しいですけど、天音さんはポーカーフェイスが大の苦手じゃないですか。スパイなんて務まります?」
「うぐっ…。ぐっ…そ、それは…」
良くも悪くも素直だからな。天音は。
丁度ナジュとは正反対。
「でも…僕は嫌だよ。ナジュ君を一人で行かせるなんて…。…ついこの間だって、ナジュ君がジャマ王国に行っちゃって…ずっと、凄く悲しい思いをしてたのに…」
「…天音さん…」
「お願いだから。もう、一人で危険を背負おうとしないで」
切実な訴えである。
すると、シルナが。
「…えーっと。現実問題として、ナジュ君がスパイになるのはちょっと、難しいと思う」
言いにくそうに、そっと反対案を口にした。
「ほう…?僕のスパイ力を疑ってますか?正体と素性を隠して、イーニシュフェルト魔導学院にも潜入した僕を?」
「あの時は、まったく迷惑なことをしてくれましたね」
当時のことを思い出し、再び怒りを募らせているイレースである。
俺の中では、あれは非常に苦い記憶として残ってるよ。
「そ、そうじゃなくて…。ナジュ君が優れた読心魔法の使い手だってことは、多分イシュメル女王にもバレてるだろうから」
「あー…。…成程」
…うん、俺もそう思う。
「イシュメル女王は、俺とシュニィのことも知っていた。ナジュのことを知っていてもおかしくはないな」
と、無闇。
だろうな。
シュニィと無闇を知っているなら、当然ナジュのことも調べているだろう。
特に、読心魔法なんて稀有な魔法は、当然イシュメル女王も警戒しているだろうから。
ナジュがキルディリアに潜入したとしても、イシュメル女王は心を許さないはずだ。
「ふむ…。成程、それじゃあ僕は活躍出来そうにありませんね」
「あぁ。気持ちだけ受け取っとくよ」
「…はー」
…何で残念そうなんだよ。
一方天音は、ナジュがスパイ候補から外れたことで、露骨にホッとしているようだった。
そして、次に名乗りをあげたのは。
「じゃ、スパイは俺達だねー」
「潜入に必要なものを用意してくるね」
すぐりと令月は、当たり前のようにそう言って、部屋を出ていこうとした。
ちょっと待て。
「お前ら!勝手に出ていこうとするんじゃない。止まれ!」
「え、なんで?」
「大丈夫だよ。本職は暗殺者だけど、潜入任務なら得意分野だから」
ふざけんな。お前らの本分は学生だ。
潜入しなくて良いから。真面目に学生やってろ。
「お前らは駄目に決まってるだろ!学院で大人しくしとけ」
そう言うと、二人共心底驚いたように目を見開いた。
「…そんな不思議そうな顔をするなよ」
「なんで?この中で一番スパイに向いてるの、どう考えても俺達だよ?」
…その一点に関しては、確かに反論のしようがないが。
でも、お前達に危険な潜入任務を任せる訳にはいかないんだ。



