俺は、その名前を思い出した。
智天使ケルビムって…確か…三大天使の一人。
クロティルダと…それから、リューイの上司…。
「…ケルビム…」
「…こんにちは。あなたが、聖神ルデスの器ですね」
ケルビムはベリクリーデの方を見て、にこりと微笑んだ。
…聖神ルデスの器、じゃねぇ。
そいつは、ただのベリクリーデだ。…それ以外の何物でもない。
「…すげー…。でっけー羽根。これが智天使…」
「初めて見ましたね」
キュレムとルイーシュが、それぞれ言った。
…意外と、二人共冷静だな。
って、俺も、別に驚いちゃいないが…。
この世には、魔物も、竜も、神様だっているんだから。
今更、天使の親分が出てきたくらいで、驚くに値しない。
「…あんたがケルビムか」
「はい。…あなたは、『黎明の魔法使い』…ジュリス・レティーナさんですね」
…ちっ。
つまんない昔の二つ名を、いつまでも覚えてるんじゃねぇよ。
それよりも。
「確か、イーニシュフェルト魔導学院のマシュリ・カティアを殺したのは、あんただったな?」
忘れたとは言わせねぇぞ。
「…そんなことありましたっけ?キュレムさん、覚えてます?」
「お前は忘れてんのかよ。冥界に心臓取り戻しに行ったじゃん」
「あぁ。ありましたねそんなこと」
ぽん、と手を打って思い出すルイーシュ。
嘘だろ、お前。あれ、結構な大事件だったじゃん。
忘れるの早すぎだろ。
「あの時は大変でしたよ。危うく、巨人の胃の中で溶かされて、栄養分になるところでした」
「まったくだぜ。自分も、危うく浦島太郎になるところだった」
「…それについては、本当に申し訳なく思っています」
智天使ケルビムは、心から申し訳なさそうに目を伏せた。
「私としても、マシュリ・カティアさんを手に掛けることは…望んでいませんでした。ですが、あの時は…仲間の天使に説得されて…」
「お、おぉ」
「私の意志が、力が及ばないばかりに…。マシュリさんにも、あなた方にも、たくさん迷惑と苦労をかけることになってしまいました。本当にごめんなさい」
ぺこり、と頭を下げるケルビム。
…随分と腰の低い天使だな。
これには、キュレムもたじたじ。
「え。いや、別に、そんな畏まられると困るんだけど」
「天使に…それも三大天使の一人に、頭を下げさせるなんて…。俺達、もしかして大物なのでは?」
「あんたさんを責めても、なんも変わらないだろ。もう気にすんなって」
キュレムもルイーシュも、相変わらずさっぱりしていることだ。
俺と違って、「絶対許さねぇ」なんて言わない。
「それより、そこのクロッティが行方を眩ませてたのは…」
「…それも…私達天使の問題です。迷惑をかけて申し訳ありません」
天使同士のいざこざの結果、って訳ね。
巻き込まれる方は、溜まったもんじゃない。
「でも、クロティルダは何も悪くないんです…。彼はただ、巻き込まれただけで…。どうか許してあげてください。お願いします」
そう言って。
智天使ケルビムは、ぺこりと頭を下げて、俺に謝罪した。
…。
これには、さすがの俺も、少し心が揺れ動いた。
智天使ケルビムって…確か…三大天使の一人。
クロティルダと…それから、リューイの上司…。
「…ケルビム…」
「…こんにちは。あなたが、聖神ルデスの器ですね」
ケルビムはベリクリーデの方を見て、にこりと微笑んだ。
…聖神ルデスの器、じゃねぇ。
そいつは、ただのベリクリーデだ。…それ以外の何物でもない。
「…すげー…。でっけー羽根。これが智天使…」
「初めて見ましたね」
キュレムとルイーシュが、それぞれ言った。
…意外と、二人共冷静だな。
って、俺も、別に驚いちゃいないが…。
この世には、魔物も、竜も、神様だっているんだから。
今更、天使の親分が出てきたくらいで、驚くに値しない。
「…あんたがケルビムか」
「はい。…あなたは、『黎明の魔法使い』…ジュリス・レティーナさんですね」
…ちっ。
つまんない昔の二つ名を、いつまでも覚えてるんじゃねぇよ。
それよりも。
「確か、イーニシュフェルト魔導学院のマシュリ・カティアを殺したのは、あんただったな?」
忘れたとは言わせねぇぞ。
「…そんなことありましたっけ?キュレムさん、覚えてます?」
「お前は忘れてんのかよ。冥界に心臓取り戻しに行ったじゃん」
「あぁ。ありましたねそんなこと」
ぽん、と手を打って思い出すルイーシュ。
嘘だろ、お前。あれ、結構な大事件だったじゃん。
忘れるの早すぎだろ。
「あの時は大変でしたよ。危うく、巨人の胃の中で溶かされて、栄養分になるところでした」
「まったくだぜ。自分も、危うく浦島太郎になるところだった」
「…それについては、本当に申し訳なく思っています」
智天使ケルビムは、心から申し訳なさそうに目を伏せた。
「私としても、マシュリ・カティアさんを手に掛けることは…望んでいませんでした。ですが、あの時は…仲間の天使に説得されて…」
「お、おぉ」
「私の意志が、力が及ばないばかりに…。マシュリさんにも、あなた方にも、たくさん迷惑と苦労をかけることになってしまいました。本当にごめんなさい」
ぺこり、と頭を下げるケルビム。
…随分と腰の低い天使だな。
これには、キュレムもたじたじ。
「え。いや、別に、そんな畏まられると困るんだけど」
「天使に…それも三大天使の一人に、頭を下げさせるなんて…。俺達、もしかして大物なのでは?」
「あんたさんを責めても、なんも変わらないだろ。もう気にすんなって」
キュレムもルイーシュも、相変わらずさっぱりしていることだ。
俺と違って、「絶対許さねぇ」なんて言わない。
「それより、そこのクロッティが行方を眩ませてたのは…」
「…それも…私達天使の問題です。迷惑をかけて申し訳ありません」
天使同士のいざこざの結果、って訳ね。
巻き込まれる方は、溜まったもんじゃない。
「でも、クロティルダは何も悪くないんです…。彼はただ、巻き込まれただけで…。どうか許してあげてください。お願いします」
そう言って。
智天使ケルビムは、ぺこりと頭を下げて、俺に謝罪した。
…。
これには、さすがの俺も、少し心が揺れ動いた。



