「ついこの間、キルディリア魔王国は、ルーデュニア聖王国に魔導師軍をけしかけてきた。イーニシュフェルト魔導学院での争い…。忘れたとは言わせないぞ」
ぐさぐさと、容赦のない言葉の嵐。
む、無闇さん…。もう少し、オブラートに包むということを…。
いえ、私がまごまごしていたのが悪いんですが…。
「俺達はルーデュニア聖王国、聖魔騎士団の者だ。お前にとっては敵のはずじゃないか。もてなしてどうする?一体その態度はどういうつもりなんだ?」
「…」
あろうことか、女王に対して「お前」呼ばわり。
無闇さん…。恐れ知らずにも程があります。
イシュメル女王が激昂して、声を荒らげるのではないかと心配したが…。
女王は相変わらず、扇で口元を隠しながら、微笑んでいた。
「敵…?敵と言ったか、おぬし」
「そうだ。…違うのか?」
「違う。断じて違うぞ。むしろ、わらわはおぬしらを、同胞と思っておる」
…同胞…?
「おぬしら、魔導師なのだろう?…それも、相応の使い手だ」
…それは。
「見覚えがあるぞ。アルデン人の娘、おぬしの名は確か、シュニィ・ルシェリート。聖魔騎士団副団長じゃ」
「…!」
「そして隣のおぬしは、無闇・キノファ。神殺しの魔導書、『死火』の契約者じゃ。…違うか?」
「…」
私も、無闇さんも黙り込んだ。
…知っていたのか。
キルディリア魔王国の情報網は、予想以上に優秀だということですね。
「実に素晴らしい。我が国でも、おぬしらほどの魔導師は稀じゃ。さすがは、聖賢者殿の懐刀と言うべきか…」
「…」
「ルーデュニア聖王国に置いておくには勿体ない。どうじゃ。おぬしら、我が国に鞍替えするつもりはないか?」
あろうことか。
イシュメル女王は、私と無闇さんをキルディリア魔王国に勧誘した。
非常に…有り難い申し出なのでしょうね。
魔導大国であるキルディリア魔王国に「引き抜き」の誘いを受けるなんて。
しかも、イシュメル女王から直々に。
魔導師として、最高の名誉だ。
…だけど、私は。
「おぬしらほどの魔導師なら、すぐにでも上級魔導師に任命するぞ。住処も、職もすべてわらわが用意してやろうぞ」
「…結構です」
私は静かに、だけどきっぱりとそう答えた。
「何故じゃ?」
「私は、ルーデュニア聖王国に家族を残しています」
愛する家族を置き去りにして、他国に移り住むなんて有り得ない。
「そうか。ならば問題はない。家族ごと越してくれば良いのじゃ。10人でも100人でも、好きなだけ連れてきて良いぞ」
「いいえ、お断りします」
「…頭の固い女じゃ。一体何が気に入らぬと言うのか」
気に入るとか気に入らないとか、そんなことはどうでも良い。
関係ない。
私の家族はキルディリア魔王国じゃなくて、ルーデュニア聖王国に…あの場所にあるのだから。
「そちらの、『死火』の守り人殿はどうじゃ?おぬしほどの魔導の使い手なら、いつでも歓迎するぞ」
「悪いが、間に合っている」
無闇さんも、すげなく断った。
…そうですよね。良かった。
「なんじゃ、おぬしもか…。つまらんのう」
「俺はこれまで、様々な国を巡って旅をしてきた。だが、これほど居心地の悪い国は初めてだ」
む、無闇さん。
元々、はっきりとした物言いの人だとは思ってましたけど。
いくらなんでも、はっきり言い過ぎのでは…?
ぐさぐさと、容赦のない言葉の嵐。
む、無闇さん…。もう少し、オブラートに包むということを…。
いえ、私がまごまごしていたのが悪いんですが…。
「俺達はルーデュニア聖王国、聖魔騎士団の者だ。お前にとっては敵のはずじゃないか。もてなしてどうする?一体その態度はどういうつもりなんだ?」
「…」
あろうことか、女王に対して「お前」呼ばわり。
無闇さん…。恐れ知らずにも程があります。
イシュメル女王が激昂して、声を荒らげるのではないかと心配したが…。
女王は相変わらず、扇で口元を隠しながら、微笑んでいた。
「敵…?敵と言ったか、おぬし」
「そうだ。…違うのか?」
「違う。断じて違うぞ。むしろ、わらわはおぬしらを、同胞と思っておる」
…同胞…?
「おぬしら、魔導師なのだろう?…それも、相応の使い手だ」
…それは。
「見覚えがあるぞ。アルデン人の娘、おぬしの名は確か、シュニィ・ルシェリート。聖魔騎士団副団長じゃ」
「…!」
「そして隣のおぬしは、無闇・キノファ。神殺しの魔導書、『死火』の契約者じゃ。…違うか?」
「…」
私も、無闇さんも黙り込んだ。
…知っていたのか。
キルディリア魔王国の情報網は、予想以上に優秀だということですね。
「実に素晴らしい。我が国でも、おぬしらほどの魔導師は稀じゃ。さすがは、聖賢者殿の懐刀と言うべきか…」
「…」
「ルーデュニア聖王国に置いておくには勿体ない。どうじゃ。おぬしら、我が国に鞍替えするつもりはないか?」
あろうことか。
イシュメル女王は、私と無闇さんをキルディリア魔王国に勧誘した。
非常に…有り難い申し出なのでしょうね。
魔導大国であるキルディリア魔王国に「引き抜き」の誘いを受けるなんて。
しかも、イシュメル女王から直々に。
魔導師として、最高の名誉だ。
…だけど、私は。
「おぬしらほどの魔導師なら、すぐにでも上級魔導師に任命するぞ。住処も、職もすべてわらわが用意してやろうぞ」
「…結構です」
私は静かに、だけどきっぱりとそう答えた。
「何故じゃ?」
「私は、ルーデュニア聖王国に家族を残しています」
愛する家族を置き去りにして、他国に移り住むなんて有り得ない。
「そうか。ならば問題はない。家族ごと越してくれば良いのじゃ。10人でも100人でも、好きなだけ連れてきて良いぞ」
「いいえ、お断りします」
「…頭の固い女じゃ。一体何が気に入らぬと言うのか」
気に入るとか気に入らないとか、そんなことはどうでも良い。
関係ない。
私の家族はキルディリア魔王国じゃなくて、ルーデュニア聖王国に…あの場所にあるのだから。
「そちらの、『死火』の守り人殿はどうじゃ?おぬしほどの魔導の使い手なら、いつでも歓迎するぞ」
「悪いが、間に合っている」
無闇さんも、すげなく断った。
…そうですよね。良かった。
「なんじゃ、おぬしもか…。つまらんのう」
「俺はこれまで、様々な国を巡って旅をしてきた。だが、これほど居心地の悪い国は初めてだ」
む、無闇さん。
元々、はっきりとした物言いの人だとは思ってましたけど。
いくらなんでも、はっきり言い過ぎのでは…?



