神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

「これが…。…ファニレス王宮」

まるで、クリスタルの神殿ですね。

丁度、アイナが持っているおとぎ話の絵本の中に、こんな見た目の宮殿の挿し絵がありましたよ。

アイナが見たら喜ぶでしょうね。

でも、これは…このお城は…。

「これはハリボテだな」

無闇さんが、ポツリと呟いた。

無闇さんも気づいたようだ。

まぁ、私でさえ気づくのだから、無闇さんも気づいて当然なのだが。

「…えぇ。そうですね」

幻覚魔法である。

王宮全体に、高度な幻覚魔法がかけられている。

豪奢なクリスタルの王宮に見えるけれど、実際はもっと小さくて、無機質な建物だ。

一体何の為に、こんな幻覚魔法をかけているのか…。

王族として、見栄を張る為なのかもしれないが。

こうして見破られてしまうと、むしろ滑稽にしか映らないのが、分からないのだろうか。

何とも言えない、居心地の悪さを感じながら。

私と無闇さんは、ハリボテのファニレス王宮に、足を踏み入れた。