話に聞いていた通りだった。
ようやく、長く、不安に満ちた航海が終わり。
キルディリア魔王国の港に辿り着いて、陸地に降り立って、ほっと一安心したのも束の間。
港の出口には、駅の改札みたいに、入国検問所が隣接していて。
港に辿り着いた人々は、真っ直ぐに入国検問所に向かった。
ここで入国審査を受けなければ、キルディリア魔王国に正式に入国したことにはならない。
私達はそのまま、休む間もなく入国検問所に向かった。
そして、そこで…。
入国審査のことを思い出していた、その時。
無闇さんの背後から、ふわり、と一人の女性が姿を現した。
無闇さんの持つ魔導書、『死火』の化身である、月読さんだ。
「ふわぁ…。よく寝た…」
「あ、月読さん…。…こんにちは」
「あ、シュニィだ。やっほー」
笑顔で手を振る月読さん。
「…あれ?ここ、何処?無闇くん、何処に来たの?」
その月読さんは、無闇さんと、私を交互に見つめ。
「あ、もしかしてここがキルディリアって国?」
…御名答です。
「はい。キルディリア魔王国に到着したんですよ」
「へぇー、そっか。やっと辿り…。…ん?」
…ん?
「…無闇くん、これ何?こんなの持ってたっけ?」
月読さんは、無闇さんが首から下げているネームホルダーを手に取った。
…やっぱり、そこに目が行きますよね。
もらったばかりの新品のネームホルダーの中には、オレンジ色の証明書が入っている。
ちなみに、私も同じものを持っている。
…これをもらう為に、私達は入国審査を受けたのだ。
「キルディリア魔王国では、魔導師はこの証明書を身に着けていなければならないそうだ」
と、無闇さんが説明した。
「キルディリア国籍の一般魔導師なら銀色、上級魔導師なら金色、海外から旅行に来た魔導師は、この通りオレンジ…。国籍に限らず、非魔導師なら青だそうだ」
魔導師なら、キルディリア国民か、旅行者かを証明書の色で区別するのに。
非魔導師は、自国の民だろうと他国の民だろうと関係なく、非魔導師という一括りで判断する…。
…何だか不公平ですよね。
無闇さんの説明に、月読さんはびっくりして。
「何それ?魔導師だろうと魔導師じゃなかろうと、無闇くんは無闇くんでしょ?」
「…本当に…。…その通りですよね」
月読さんの一言は、私の言いたいことを端的に表していた。
魔法が使えようと使えまいと、その人の価値は変わらない。
それなのに…。こんな証明書で…安っぽい紙切れ1枚で、人を区別しようとするなんて…。
「…」
私は、忌々しい「入国審査」のことを思い出した。
私と無闇さんは、入国審査の時に、魔法を使ってみせるよう、入国審査官に頼まれた。
そこで私は、不愉快に感じながらも、その場で魔法を使ってみせた。
すると、それを見た入国審査官は、にっこりと愛想の良い微笑みを浮かべ。
「はい、確かに確認しました。あなたは魔導師ですね」
と言って、別室で証明書の発行を待つように案内された。
私に続いて、無闇さんも同じように魔法を使ってみせ。
私達は複雑な思いのまま、待合室で待たされた。
ちなみに、その待合室では、お客様のような扱いだった。
「お飲み物はいかがですか。軽食はいかがですか」と至れり尽くせり。
何も知らなければ、私は感心していただろう。
海外からの旅行客を、こんなにも歓迎してくれるなんて、と。
だけど私は、素直に喜ぶことは出来なかった。
ようやく、長く、不安に満ちた航海が終わり。
キルディリア魔王国の港に辿り着いて、陸地に降り立って、ほっと一安心したのも束の間。
港の出口には、駅の改札みたいに、入国検問所が隣接していて。
港に辿り着いた人々は、真っ直ぐに入国検問所に向かった。
ここで入国審査を受けなければ、キルディリア魔王国に正式に入国したことにはならない。
私達はそのまま、休む間もなく入国検問所に向かった。
そして、そこで…。
入国審査のことを思い出していた、その時。
無闇さんの背後から、ふわり、と一人の女性が姿を現した。
無闇さんの持つ魔導書、『死火』の化身である、月読さんだ。
「ふわぁ…。よく寝た…」
「あ、月読さん…。…こんにちは」
「あ、シュニィだ。やっほー」
笑顔で手を振る月読さん。
「…あれ?ここ、何処?無闇くん、何処に来たの?」
その月読さんは、無闇さんと、私を交互に見つめ。
「あ、もしかしてここがキルディリアって国?」
…御名答です。
「はい。キルディリア魔王国に到着したんですよ」
「へぇー、そっか。やっと辿り…。…ん?」
…ん?
「…無闇くん、これ何?こんなの持ってたっけ?」
月読さんは、無闇さんが首から下げているネームホルダーを手に取った。
…やっぱり、そこに目が行きますよね。
もらったばかりの新品のネームホルダーの中には、オレンジ色の証明書が入っている。
ちなみに、私も同じものを持っている。
…これをもらう為に、私達は入国審査を受けたのだ。
「キルディリア魔王国では、魔導師はこの証明書を身に着けていなければならないそうだ」
と、無闇さんが説明した。
「キルディリア国籍の一般魔導師なら銀色、上級魔導師なら金色、海外から旅行に来た魔導師は、この通りオレンジ…。国籍に限らず、非魔導師なら青だそうだ」
魔導師なら、キルディリア国民か、旅行者かを証明書の色で区別するのに。
非魔導師は、自国の民だろうと他国の民だろうと関係なく、非魔導師という一括りで判断する…。
…何だか不公平ですよね。
無闇さんの説明に、月読さんはびっくりして。
「何それ?魔導師だろうと魔導師じゃなかろうと、無闇くんは無闇くんでしょ?」
「…本当に…。…その通りですよね」
月読さんの一言は、私の言いたいことを端的に表していた。
魔法が使えようと使えまいと、その人の価値は変わらない。
それなのに…。こんな証明書で…安っぽい紙切れ1枚で、人を区別しようとするなんて…。
「…」
私は、忌々しい「入国審査」のことを思い出した。
私と無闇さんは、入国審査の時に、魔法を使ってみせるよう、入国審査官に頼まれた。
そこで私は、不愉快に感じながらも、その場で魔法を使ってみせた。
すると、それを見た入国審査官は、にっこりと愛想の良い微笑みを浮かべ。
「はい、確かに確認しました。あなたは魔導師ですね」
と言って、別室で証明書の発行を待つように案内された。
私に続いて、無闇さんも同じように魔法を使ってみせ。
私達は複雑な思いのまま、待合室で待たされた。
ちなみに、その待合室では、お客様のような扱いだった。
「お飲み物はいかがですか。軽食はいかがですか」と至れり尽くせり。
何も知らなければ、私は感心していただろう。
海外からの旅行客を、こんなにも歓迎してくれるなんて、と。
だけど私は、素直に喜ぶことは出来なかった。



