案の定。
無闇の連れてきた怪我人も、いずれも軽傷ばかりで。
天音が回復魔法を使うまでもなく、絆創膏を貼っておけば済むような怪我だった。
何よりだ。
「ふぅ…。こんなものかな」
無闇が連れてきた怪我人の、最後の一人の手当てが終わった。
お疲れさん、天音。
すると、丁度その時。
「どうですか、進捗は」
「あ、ナジュ君」
作戦指揮官のナジュ君、ことルーチェス・ナジュ・アンブローシアがやって来た。
「怪我人の手当ては終わったよ。みんは軽傷ばかりで…。今のところ、命に関わるような患者はいない」
「そうですか。それは何よりです。…クュルナさん、無闇さんの方は?」
「問題ありません。各地で小競り合いは起きているようですが、まとめて眠らせましたから」
さらっと答えるクュルナ。と、
「こちらも問題ない。死傷者を出さずに事を収めている」
「私と無闇君の頑張りのお陰だよね!」
無闇と月読が、それぞれ答えた。
「分かりました。…それじゃジュリスさん、ベリクリーデさん、そちらは?」
ナジュは、今度は俺とベリクリーデに尋ねた。
「こっちも、特に問題はないよ。…ベリクリーデの頭に、空き缶をぶつけられた以外は」
「ポップコーン、拾おうと思ったの」
「あぁ…。成程、それは大変でしたねー」
俺とベリクリーデの心を読んで、何が起きたかを察したらしいナジュである。
便利だな、その読心魔法って奴は。
「思ったより…被害が少なく済んでて、良かったね」
全員の報告を聞いて。
天音が、安心したようにそう言った。
…そうだな。
もっと…血で血を洗うような、血生臭い戦場を思い浮かべていたが。
今のところ、そういった…戦場の惨劇は、未然に防ぐことが出来ている。
誰にも大怪我をさせず、そして、死者も出さないうちに、事を収められている。
どうかこのまま、誰も傷つかないうちに、キルディリア国軍を撤退させられれば…。
「この調子なら、きっとこのまま、平和に解決…」
「…それはどうでしょうね」
「えっ」
天音の、平和を望む気持ちに水を差すように。
対するナジュは、厳しい意見を口にした。
「僕の予想だと、平和なのは今のうちだけです。ここから、もっと悪くなると思います」
「えっ…な、なんで?」
…天音には悪いが。
正直、俺もナジュと同意見だな。
そろそろ…キルディリア国軍も、本腰を入れ始める頃だろうから。
「気づいてますか?皆さん。今のところ、反乱の鎮圧に当たってるキルディリア国軍の魔導師は、全員『銀カード』…一般魔導師なんです」
「…!」
その台詞で、天音もナジュが言わんとしていることに気づいたようだな。
「キルディリア魔王国の本命は、あくまで『金カード』…上級魔導師です。このまま小競り合いが長引けば、いずれ上級魔導師も戦場に投入されるでしょう」
「そ、そんな…」
…来るだろうな。俺もそう思う。
出来れば来ないで欲しいけど。…そうは行かんだろう。
あの狡猾な、キルディリア女王のこと。
『銀カード』の魔導師で手に負えないとなったら、今度は『金カード』を送り込んでくるはず。
そうすれば…今みたいに「平和な」戦場は、一気に崩れ去り。
俺達が想像していた通りの…本物の戦場に変わるはずだ。
この野戦病院テントでさえ、例外ではない。
上級魔導師の攻撃を受ければ、擦り傷や捻挫くらいじゃ済まない。
そして、プライドの高い上級魔導師達は、アーリヤット皇国の民を手に掛けることさえ、まったく厭わないだろう。
いくら、俺達が間に入って、仲裁しようとしても。
相手が上級魔導師じゃ…これまでのようにはいかないだろうな。
無闇の連れてきた怪我人も、いずれも軽傷ばかりで。
天音が回復魔法を使うまでもなく、絆創膏を貼っておけば済むような怪我だった。
何よりだ。
「ふぅ…。こんなものかな」
無闇が連れてきた怪我人の、最後の一人の手当てが終わった。
お疲れさん、天音。
すると、丁度その時。
「どうですか、進捗は」
「あ、ナジュ君」
作戦指揮官のナジュ君、ことルーチェス・ナジュ・アンブローシアがやって来た。
「怪我人の手当ては終わったよ。みんは軽傷ばかりで…。今のところ、命に関わるような患者はいない」
「そうですか。それは何よりです。…クュルナさん、無闇さんの方は?」
「問題ありません。各地で小競り合いは起きているようですが、まとめて眠らせましたから」
さらっと答えるクュルナ。と、
「こちらも問題ない。死傷者を出さずに事を収めている」
「私と無闇君の頑張りのお陰だよね!」
無闇と月読が、それぞれ答えた。
「分かりました。…それじゃジュリスさん、ベリクリーデさん、そちらは?」
ナジュは、今度は俺とベリクリーデに尋ねた。
「こっちも、特に問題はないよ。…ベリクリーデの頭に、空き缶をぶつけられた以外は」
「ポップコーン、拾おうと思ったの」
「あぁ…。成程、それは大変でしたねー」
俺とベリクリーデの心を読んで、何が起きたかを察したらしいナジュである。
便利だな、その読心魔法って奴は。
「思ったより…被害が少なく済んでて、良かったね」
全員の報告を聞いて。
天音が、安心したようにそう言った。
…そうだな。
もっと…血で血を洗うような、血生臭い戦場を思い浮かべていたが。
今のところ、そういった…戦場の惨劇は、未然に防ぐことが出来ている。
誰にも大怪我をさせず、そして、死者も出さないうちに、事を収められている。
どうかこのまま、誰も傷つかないうちに、キルディリア国軍を撤退させられれば…。
「この調子なら、きっとこのまま、平和に解決…」
「…それはどうでしょうね」
「えっ」
天音の、平和を望む気持ちに水を差すように。
対するナジュは、厳しい意見を口にした。
「僕の予想だと、平和なのは今のうちだけです。ここから、もっと悪くなると思います」
「えっ…な、なんで?」
…天音には悪いが。
正直、俺もナジュと同意見だな。
そろそろ…キルディリア国軍も、本腰を入れ始める頃だろうから。
「気づいてますか?皆さん。今のところ、反乱の鎮圧に当たってるキルディリア国軍の魔導師は、全員『銀カード』…一般魔導師なんです」
「…!」
その台詞で、天音もナジュが言わんとしていることに気づいたようだな。
「キルディリア魔王国の本命は、あくまで『金カード』…上級魔導師です。このまま小競り合いが長引けば、いずれ上級魔導師も戦場に投入されるでしょう」
「そ、そんな…」
…来るだろうな。俺もそう思う。
出来れば来ないで欲しいけど。…そうは行かんだろう。
あの狡猾な、キルディリア女王のこと。
『銀カード』の魔導師で手に負えないとなったら、今度は『金カード』を送り込んでくるはず。
そうすれば…今みたいに「平和な」戦場は、一気に崩れ去り。
俺達が想像していた通りの…本物の戦場に変わるはずだ。
この野戦病院テントでさえ、例外ではない。
上級魔導師の攻撃を受ければ、擦り傷や捻挫くらいじゃ済まない。
そして、プライドの高い上級魔導師達は、アーリヤット皇国の民を手に掛けることさえ、まったく厭わないだろう。
いくら、俺達が間に入って、仲裁しようとしても。
相手が上級魔導師じゃ…これまでのようにはいかないだろうな。



