ファニレス王宮の衛兵達は、実に気の毒だ。
彼らは何も悪くない。それに、彼らは確かに…強い魔導師だった。
ルーデュニア聖王国の、聖魔騎士団の魔導師にも劣らない。
…だけど。
「…う…うぅ…」
「…さすがに、相手が悪かったよ」
僕は、魔物と人間の…ケルベロスの血を、そして神竜バハムートの血を継ぐ、異形のバケモノだから。
いかにキルディリアの魔導師が強力だろうと…指輪を外し、魔物としての力を解放した僕には、敵わない。
まともな人間なら、誰でも。
一人残らず、無力化してやった。
ただし、誰も殺してはいない。彼らを殺すことは、僕にとって本意ではない。
僕の目的は、ただ…ナツキ皇王を取り戻すことだけだ。
衛兵達を蹴散らして、僕は真っ直ぐに地下に降りた。
遠くから、令月とすぐりが『玉響』と戦っているであろう、戦闘音が聞こえてくる。
彼らが持ち堪えてくれている間に、ナツキ皇王を助け出す。
…地下に降りると、僕の足音が聞こえたのか。
「…!誰だ?」
ナツキ皇王の、警戒した声が聞こえた。
「…僕だよ」
「…!お前…」
僕のこと、覚えてるよね。…さすがに。
「マシュリ・カティア…」
…御名答。
君に言いたいことは、色々とあるけど。
お互い思うことも、色々あるだろうけど。
今は、それらは全部脇に置いておくとしよう。
「…貴様…。ルーデュニアから、今度はキルディリア魔王国に寝返ったのか?」
まさか。
「違うよ」
そんな節操なしじゃないよ。いくら何でも。
僕の帰るべき場所は、ちゃんとある。
「君をアーリヤット皇国に、連れて帰る為に来たんだ」
「…俺を…?」
「言っておくけど、君を助ける為じゃないよ。ルーデュニア聖王国を守る為に…僕の大切な人達を守る為に必要なんだ」
僕自身は、今や、このナツキ皇王に未練はない。
この人が死んだとしても…アーリヤット皇国が滅んだとしても、今の僕にはもう関係ない。
そこはちゃんと、割り切っている。…つもりだ。
だけど、ルーデュニア聖王国の平和を守る為には、この人の命が必要だから。
それに何より…シルナ学院長達が。
僕の恩人達が、そう望んでいるから。
僕は、その意思に従う。
「だから、一緒に来て」
「…信じて良いのか?」
「信じられないのなら、信じてもらわなくても良い」
僕のやることは変わらない。
それに。
「今のままじゃ、君だって八方塞がりのはずだよ」
「…」
このまま、ファニレス王宮の地下に閉じこもっていても、アーリヤット皇国に対する人質にされるだけ。
いつ殺されるかと、怯えて過ごすだけだ。
キルディリアの魔導師に殺されるくらいなら…。…元『HOME』の僕に賭ける方が、まだ希望があるんじゃないかな。
「…分かった」
ナツキ皇王は、頷いてそう言った。
「この場所から連れ出してもらえるのなら、それが何者であっても構わない。…俺は立ち止まる訳にはいかない」
「…良いよ」
その意気だ。
…それじゃ。
「行くよ。…ちょっと揺れるけど、しっかり掴まって」
これで何度目になるだろうか。
…通称マシュリタクシー、再び爆誕。
彼らは何も悪くない。それに、彼らは確かに…強い魔導師だった。
ルーデュニア聖王国の、聖魔騎士団の魔導師にも劣らない。
…だけど。
「…う…うぅ…」
「…さすがに、相手が悪かったよ」
僕は、魔物と人間の…ケルベロスの血を、そして神竜バハムートの血を継ぐ、異形のバケモノだから。
いかにキルディリアの魔導師が強力だろうと…指輪を外し、魔物としての力を解放した僕には、敵わない。
まともな人間なら、誰でも。
一人残らず、無力化してやった。
ただし、誰も殺してはいない。彼らを殺すことは、僕にとって本意ではない。
僕の目的は、ただ…ナツキ皇王を取り戻すことだけだ。
衛兵達を蹴散らして、僕は真っ直ぐに地下に降りた。
遠くから、令月とすぐりが『玉響』と戦っているであろう、戦闘音が聞こえてくる。
彼らが持ち堪えてくれている間に、ナツキ皇王を助け出す。
…地下に降りると、僕の足音が聞こえたのか。
「…!誰だ?」
ナツキ皇王の、警戒した声が聞こえた。
「…僕だよ」
「…!お前…」
僕のこと、覚えてるよね。…さすがに。
「マシュリ・カティア…」
…御名答。
君に言いたいことは、色々とあるけど。
お互い思うことも、色々あるだろうけど。
今は、それらは全部脇に置いておくとしよう。
「…貴様…。ルーデュニアから、今度はキルディリア魔王国に寝返ったのか?」
まさか。
「違うよ」
そんな節操なしじゃないよ。いくら何でも。
僕の帰るべき場所は、ちゃんとある。
「君をアーリヤット皇国に、連れて帰る為に来たんだ」
「…俺を…?」
「言っておくけど、君を助ける為じゃないよ。ルーデュニア聖王国を守る為に…僕の大切な人達を守る為に必要なんだ」
僕自身は、今や、このナツキ皇王に未練はない。
この人が死んだとしても…アーリヤット皇国が滅んだとしても、今の僕にはもう関係ない。
そこはちゃんと、割り切っている。…つもりだ。
だけど、ルーデュニア聖王国の平和を守る為には、この人の命が必要だから。
それに何より…シルナ学院長達が。
僕の恩人達が、そう望んでいるから。
僕は、その意思に従う。
「だから、一緒に来て」
「…信じて良いのか?」
「信じられないのなら、信じてもらわなくても良い」
僕のやることは変わらない。
それに。
「今のままじゃ、君だって八方塞がりのはずだよ」
「…」
このまま、ファニレス王宮の地下に閉じこもっていても、アーリヤット皇国に対する人質にされるだけ。
いつ殺されるかと、怯えて過ごすだけだ。
キルディリアの魔導師に殺されるくらいなら…。…元『HOME』の僕に賭ける方が、まだ希望があるんじゃないかな。
「…分かった」
ナツキ皇王は、頷いてそう言った。
「この場所から連れ出してもらえるのなら、それが何者であっても構わない。…俺は立ち止まる訳にはいかない」
「…良いよ」
その意気だ。
…それじゃ。
「行くよ。…ちょっと揺れるけど、しっかり掴まって」
これで何度目になるだろうか。
…通称マシュリタクシー、再び爆誕。



