神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

…と、

意気込んだのは良いものの。

1分後、窮地に立たされていたのは…。…俺と『八千代』の方だった。



…あれ?もしかして俺、口程にもない感じ?




「遅いです」

「ちっ…」

これで何度目になるだろうか。

『八千代』は隙を狙って、『玉響』に小太刀の一撃を撃ち込もうとするのだが。

寸前で『玉響』の糸に阻まれ、近づけない。

…それどころか。

「っ!」

攻撃に失敗し、一歩引こうとした、『八千代』の退路を塞ぐかのように。

鋭い『玉響』の糸が、束になって『八千代』に迫っていた。

『八千代』は小太刀を振るって、その糸を両断した。

しかし、『八千代』が咄嗟に反応出来たのは、そこまでだった。

僅かに体勢を崩したところに、更に追撃の糸が、今にも『八千代』の身体を貫こうとしていた。

…させない。

「『八千代』!」

俺は糸を飛ばし、『八千代』の身体をぐるぐる巻きにして、思いっきり引っ張った。

…危ないところだった。

すんでのところで、『八千代』を無傷で回収出来た。

あの糸に、ほんの少しでも触れてはならない。

間違いなく、あの糸には毒が塗ってあるからだ。

俺が糸を外すと、『八千代』は再び、立ち上がって小太刀を構えた。

「…ごめん、しくじった」

「いーから」

謝ってる場合じゃないから。とゆーか、君一人の責任じゃないから。

二人で戦ってるんだからさ。

…すると。

「…『八千歳』先輩」

『玉響』はゆらりと、こちらを睨みつけるように見つめた。

「今、なんで助けたんですか?」

「…は?」

何?なんか言った?

「放っておけば、今、『八千代』先輩は僕に殺されてましたよ。なんで助けたんですか?」

「…」

なんで…って言われても。

…なんでなんだろーね?

改めて聞かれると、返事が出来ないや。

俺の中で、「助けない」って選択肢がなかったんだろうね。

まぁ、でも、学院長せんせーや、羽久せんせー流に言うと。

「仲間だからだよ」

咄嗟に身体が動く理由なんて、それしかないでしょ。

しかし、『玉響』はその返事が気に入らなかったらしく。

「…随分と仲良しなんですね」

嫌味をたっぷりと込めて、俺達にそう言った。

「頭領様の話によると、あなた達はずっといがみ合い、憎み合っていたと聞いていますが」

「…」

「いつの間に、そんなに仲良くなったんですか?」

…さぁ、いつの間にだろーね?

気づいたら、そうなってたってだけで…。