ーーーーー…こちらは、キルディリア魔王国。
『八千代』とマシュリと共に、難なくファニレス王宮に侵入した僕は。
「こっちだよ。あと少し」
ナツキ皇王の匂いを辿り、王宮の地下へと先導してくれたマシュリに、ついていった。
いやー、ほんと便利だね。
俺もマシュリみたいな嗅覚が欲しかったよ。
暗殺にももってこいの能力だよね。
お陰で、探す手間が省ける。
この調子で、さっさと皇王を連れ出して、さっさとアーリヤット皇国に連れ帰っ、
「あ、待って。駄目だ」
「ん?」
先導していたマシュリが、唐突に足を止めた。
その刹那。
ひゅんっ、と音がして。
鞭のようにしなる透明な糸が、俺達の行く手を遮るように出現した。
おっと、危ない。
うっかり触れてしまうと、バターみたいに切断されてしまうところだった。
「…こんなところまで、遥々ご苦労ですね」
「…」
俺達の前に、黒装束を着た人物がゆっくりと現れた。
…やっと来たか。
…待ってたよ。
「…『玉響』…」
「…ジャマ王国で会って以来ですね、『八千歳』さん。…それに、『八千代』さんも」
『アメノミコト』の暗殺者、『玉響』。
俺が殺した…俺と『八千代』の、かつての同僚である。
…いや、それは違ったんだっけ。
今目の前にいる『玉響』は、本物の…俺が知ってる『玉響』じゃない。
『玉響』とまったく同じ見た目をしているけれど、中身は別物。
『アメノミコト』が作った…精巧な『玉響』のクローンに過ぎない。
つまり、偽物ってことだね。
…ちょーど良かった。
この『偽玉響』が、キルディリア魔王国にいるって聞いた時から。
俺も『八千代』も、実は、ナツキ皇王のこととか、アーリヤット皇国のこととか、本当はどーでも良かったんだ。
「…どうやら手練れのようだけど、でも3対1なら負ける道理はないね」
マシュリが、戦闘態勢に入った。
やる気になってくれたようで、どーも。
…でも、その必要はない。
「マシュリ、先に行ってて」
「…え?」
てっきり、一緒に戦うと思っていたのだろう。
マシュリは驚いて、こちらを振り向いた。
「ナツキ皇王を探して。ここは俺と『八千代』で相手をするからさ」
「…良いの?」
「へぇー?まさか、俺と『八千代』のこと舐めてる?」
いくら、相手が『アメノミコト』の自信作クローンだとしても。
俺と『八千代』が手を組んで、勝てない相手は…。
…まー、そんなにはいないかな?
「僕達の侵入に気付かれて、ナツキを隠されたら厄介だから。早く連れてきて」
『八千代』がそれっぽい理屈をつけて、マシュリを説得した。
よく言うよねー、『八千代』もさ。
『八千代』だって本当は、ナツキ皇王のことなんてどうでも良い癖に。
分かってるよ。これでも、元暗殺者同士だからね。
多分ナジュせんせーは、分かってて、俺達とマシュリをキルディリア魔王国に送ってくれたんだ。
俺達が…俺達自身の手で、『偽玉響』と決着をつけたがってることを察して。
ほんと、ナジュせんせーには頭が上がらないよ。
『八千代』とマシュリと共に、難なくファニレス王宮に侵入した僕は。
「こっちだよ。あと少し」
ナツキ皇王の匂いを辿り、王宮の地下へと先導してくれたマシュリに、ついていった。
いやー、ほんと便利だね。
俺もマシュリみたいな嗅覚が欲しかったよ。
暗殺にももってこいの能力だよね。
お陰で、探す手間が省ける。
この調子で、さっさと皇王を連れ出して、さっさとアーリヤット皇国に連れ帰っ、
「あ、待って。駄目だ」
「ん?」
先導していたマシュリが、唐突に足を止めた。
その刹那。
ひゅんっ、と音がして。
鞭のようにしなる透明な糸が、俺達の行く手を遮るように出現した。
おっと、危ない。
うっかり触れてしまうと、バターみたいに切断されてしまうところだった。
「…こんなところまで、遥々ご苦労ですね」
「…」
俺達の前に、黒装束を着た人物がゆっくりと現れた。
…やっと来たか。
…待ってたよ。
「…『玉響』…」
「…ジャマ王国で会って以来ですね、『八千歳』さん。…それに、『八千代』さんも」
『アメノミコト』の暗殺者、『玉響』。
俺が殺した…俺と『八千代』の、かつての同僚である。
…いや、それは違ったんだっけ。
今目の前にいる『玉響』は、本物の…俺が知ってる『玉響』じゃない。
『玉響』とまったく同じ見た目をしているけれど、中身は別物。
『アメノミコト』が作った…精巧な『玉響』のクローンに過ぎない。
つまり、偽物ってことだね。
…ちょーど良かった。
この『偽玉響』が、キルディリア魔王国にいるって聞いた時から。
俺も『八千代』も、実は、ナツキ皇王のこととか、アーリヤット皇国のこととか、本当はどーでも良かったんだ。
「…どうやら手練れのようだけど、でも3対1なら負ける道理はないね」
マシュリが、戦闘態勢に入った。
やる気になってくれたようで、どーも。
…でも、その必要はない。
「マシュリ、先に行ってて」
「…え?」
てっきり、一緒に戦うと思っていたのだろう。
マシュリは驚いて、こちらを振り向いた。
「ナツキ皇王を探して。ここは俺と『八千代』で相手をするからさ」
「…良いの?」
「へぇー?まさか、俺と『八千代』のこと舐めてる?」
いくら、相手が『アメノミコト』の自信作クローンだとしても。
俺と『八千代』が手を組んで、勝てない相手は…。
…まー、そんなにはいないかな?
「僕達の侵入に気付かれて、ナツキを隠されたら厄介だから。早く連れてきて」
『八千代』がそれっぽい理屈をつけて、マシュリを説得した。
よく言うよねー、『八千代』もさ。
『八千代』だって本当は、ナツキ皇王のことなんてどうでも良い癖に。
分かってるよ。これでも、元暗殺者同士だからね。
多分ナジュせんせーは、分かってて、俺達とマシュリをキルディリア魔王国に送ってくれたんだ。
俺達が…俺達自身の手で、『偽玉響』と決着をつけたがってることを察して。
ほんと、ナジュせんせーには頭が上がらないよ。



