「…」
…こうして会うのは、久し振りだな。
ご無沙汰してます…なんて、気さくな挨拶をする仲ではないが。
イシュメル女王の後ろには、女王の側近であるシディ・サクメの姿もあった。
そのサクメは、険しい顔でこちらを睨んでいた。
こわっ…。
一方のイシュメル女王は、俺達の姿を見ても、いつも通り、余裕の微笑みを崩さなかった。
大した器だよ、あんたは。
シルナに爪の垢を煎じて飲ませたいくらい。
「…」
シルナが、こちらをじーっと見ていた。
「羽久が私に失礼なことを考えてる気がする…」の眼差しだな。
黙らっしゃい。
今、それどころじゃないんだよ。
「…ふふ」
イシュメル女王は俺達を見て、不敵に微笑んだ。
…その笑いは何だよ。
そして、くるりとブラマンジュに振り向いて、指示した。
「ブラマンジュよ、おぬしは下がれ」
「はい」
ブラマンジュは一礼して、客室から出ていった。
部屋の中に残ったのは、俺とシルナ、そしてイシュメル女王とシディ・サクメの四人だけである。
「…イシュメル女王…。私達は、」
「このような回りくどい手段を使わずとも、おぬしらなら、直接ここに訪ねてきても良かったのだぞ」
シルナが口を開こうとすると、イシュメル女王がそれを遮るように言った。
「イーニシュフェルトの聖賢者殿の来訪ともなれば、心を込めて歓迎してやらねばな?」
「…いえ…そんなことは」
「とはいえ、知っての通り、今は少々、面倒な小競り合いが続いておってな。大したもてなしもしてやれそうにない。不甲斐ないことじゃ」
面倒な…小競り合い。
アーリヤット人の決死の反乱でさえ、イシュメル女王にとっては「面倒な小競り合い」以外の何物でもない、と。
「…イシュメル女王、突然押し掛けてしまったことは謝ります」
「なに。おぬしらがアーリヤット領にやって来たことは、とっくに知っておる」
「…」
「『お仲間』も来ているのだろう?既に、軍から、各地で反乱の鎮圧活動を邪魔する者が現れた、との報告を受けておる」
鎮圧活動を邪魔する者…。
クュルナや無闇、そしてジュリスとベリクリーデ達だな。
良かった。みんな…無事に、予定通り、キルディリア軍とアーリヤット市民の対立を収めているらしい。
まぁ…そのことはこうして、既に、イシュメル女王の耳に届いているようだが。
どうせ遠からずバレるのだから、今知られたって、どうってことはないな。
「何故そのようなことをする?アーリヤット領での小競り合いに、ルーデュニアが介入する理由が何処にある」
お前達には関係ないだろう、と言わんばかり。
そうだな。確かに関係ない。
余計なことをするな、首を突っ込むな、と言いたいのだろう。
だけど、そうは行かない。
「イシュメル女王…。あなたはやり過ぎたのです」
と、シルナが言った。
珍しく、真剣な口調である。
「やり過ぎだと?…何が?」
自覚がないのが、逆に恐ろしい。
「アーリヤット領を武力によって制圧して、アーリヤット皇国の民を従わせて…」
「この領土は、わらわが手に入れたのじゃ。わらわがどう統治しようが、ルーデュニア人に口を出される謂れはない」
「いいえ、口を出す謂れはあります。旧アーリヤット皇国で行われていることを聞いて、我が国の民も怯えています。…それに、フユリ様も」
「…」
フユリ様の名前を出すと、イシュメル女王の微笑みが消えた。
…こうして会うのは、久し振りだな。
ご無沙汰してます…なんて、気さくな挨拶をする仲ではないが。
イシュメル女王の後ろには、女王の側近であるシディ・サクメの姿もあった。
そのサクメは、険しい顔でこちらを睨んでいた。
こわっ…。
一方のイシュメル女王は、俺達の姿を見ても、いつも通り、余裕の微笑みを崩さなかった。
大した器だよ、あんたは。
シルナに爪の垢を煎じて飲ませたいくらい。
「…」
シルナが、こちらをじーっと見ていた。
「羽久が私に失礼なことを考えてる気がする…」の眼差しだな。
黙らっしゃい。
今、それどころじゃないんだよ。
「…ふふ」
イシュメル女王は俺達を見て、不敵に微笑んだ。
…その笑いは何だよ。
そして、くるりとブラマンジュに振り向いて、指示した。
「ブラマンジュよ、おぬしは下がれ」
「はい」
ブラマンジュは一礼して、客室から出ていった。
部屋の中に残ったのは、俺とシルナ、そしてイシュメル女王とシディ・サクメの四人だけである。
「…イシュメル女王…。私達は、」
「このような回りくどい手段を使わずとも、おぬしらなら、直接ここに訪ねてきても良かったのだぞ」
シルナが口を開こうとすると、イシュメル女王がそれを遮るように言った。
「イーニシュフェルトの聖賢者殿の来訪ともなれば、心を込めて歓迎してやらねばな?」
「…いえ…そんなことは」
「とはいえ、知っての通り、今は少々、面倒な小競り合いが続いておってな。大したもてなしもしてやれそうにない。不甲斐ないことじゃ」
面倒な…小競り合い。
アーリヤット人の決死の反乱でさえ、イシュメル女王にとっては「面倒な小競り合い」以外の何物でもない、と。
「…イシュメル女王、突然押し掛けてしまったことは謝ります」
「なに。おぬしらがアーリヤット領にやって来たことは、とっくに知っておる」
「…」
「『お仲間』も来ているのだろう?既に、軍から、各地で反乱の鎮圧活動を邪魔する者が現れた、との報告を受けておる」
鎮圧活動を邪魔する者…。
クュルナや無闇、そしてジュリスとベリクリーデ達だな。
良かった。みんな…無事に、予定通り、キルディリア軍とアーリヤット市民の対立を収めているらしい。
まぁ…そのことはこうして、既に、イシュメル女王の耳に届いているようだが。
どうせ遠からずバレるのだから、今知られたって、どうってことはないな。
「何故そのようなことをする?アーリヤット領での小競り合いに、ルーデュニアが介入する理由が何処にある」
お前達には関係ないだろう、と言わんばかり。
そうだな。確かに関係ない。
余計なことをするな、首を突っ込むな、と言いたいのだろう。
だけど、そうは行かない。
「イシュメル女王…。あなたはやり過ぎたのです」
と、シルナが言った。
珍しく、真剣な口調である。
「やり過ぎだと?…何が?」
自覚がないのが、逆に恐ろしい。
「アーリヤット領を武力によって制圧して、アーリヤット皇国の民を従わせて…」
「この領土は、わらわが手に入れたのじゃ。わらわがどう統治しようが、ルーデュニア人に口を出される謂れはない」
「いいえ、口を出す謂れはあります。旧アーリヤット皇国で行われていることを聞いて、我が国の民も怯えています。…それに、フユリ様も」
「…」
フユリ様の名前を出すと、イシュメル女王の微笑みが消えた。



