神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

今、アトラスは頭の中で、天秤が揺れ動いている。

片方の皿には、「シュニィと一緒にキルディリア魔王国に行く」が乗っていて。

もう片方の皿には、「ルーデュニア聖王国に残って、アイナとレグルスの傍にいる(+山賊狩りごっこ付き)」が乗っている。

ぐらんぐらんと、天秤が揺れ動いた結果。

「…くっ…」

ついに、天秤の傾きが止まった。

「…すまない、シュニィ…。俺が非力なばかりに…」

「そんな…。あなたのせいじゃありませんよ、アトラスさん」

…どうやらアトラスは、ルーデュニア国内に残って、子供達の傍にいることを選んだようだ。

…賢明だよ、アトラス。

「私がいない間、子供達のことを頼みますね」

シュニィは、落ち込むアトラスを励ましながら、そうお願いした。

「あぁ、任せろ…。…だが、お前も必ず帰ってくるんだぞ」

「勿論です。私もそのつもりです」

「帰ってこなかったら…今度は誰が何と言おうと、俺が必ず迎えに行く。絶対に迎えに行くからな」

「わ、分かりました。分かりましたから」

「絶対に迎えに行くからな!」

「…二度も言わなくて大丈夫です」

なんとも頼もしいことじゃないか。

これなら安心して、シュニィを送り出すことが出来る…。

…と、言いたいところだが…。

「…シュニィ、お前、一人で大丈夫か?」

俺は、シュニィに尋ねた。

「え?」

「いや、お前が頼りになるのは分かってるが、さすがに一人でキルディリア魔王国まで行くのは…」

ほら、あの国…。一応、今は戦時下だし。

俺は、キルディリア魔王国の国王、イシュメル女王のことを思い出した。

俺とシルナを…いや、シルナを手中に収める為に、シルナを脅し、虚偽の報道を流し。

半ば無理矢理、強引に、キルディリア国内に幽閉した。

そんな国に、今度はシュニィを送り出すとなれば。

…嫌でも、心配しないという訳にはいかないだろう。