…ってことはこの人、キルディリア魔王国の魔導師か。
「お前達、アーリヤット人だな?」
「えっ、えっ」
シルナ、たじたじ。
いや、「違います」ってちゃんと言えよ。
しかし、言いたくても言えない気持ちはよく分かる。
だって、その女性はさながら、授業中に居眠りをしている生徒を見つけた時の、イレースのような。
まるで、地獄の閻魔みたいな眼光で、俺達を睨みつけていたから。
怖っ。美人が台無し。
「何のつもりだ?外出禁止令が出ていることを知らないのかっ!?」
「え、えー…。いや…」
何のつもり…と言われても。
外出禁止令が出ているなんて…ついさっき知ったもんで。
「総督府に連行する」
「えっ」
その若い女性が、ガシッ、とシルナの腕を掴んだ。
捕獲、完了。
って、冗談言ってる場合か。
外出禁止令が出ていることは…たった今知ったが。
まさか、通りを歩いているだけで連行されるとは。
「ちょ、ちょちょちょ、待って!私は、私も羽久も、何も怪しいことなんて!」
「良いから、来い!薄汚いアーリヤット人め。お前もどうせ魔導師じゃないんだろう!」
「えぇぇぇ!違う、違うよ。話を聞い、」
「魔導師じゃない者の話など聞くものか!」
「いやぁぁぁ!羽久助けてぇぇぇぇ!」
涙目のシルナ。
…ったく、どいつもこいつも。
「俺もシルナも、魔導師だよ」
「え?」
「正真正銘の魔導師だ。…ほら」
俺は、杖を取り出してみせ。
マッチの火をつけるみたいに、杖の先に簡単な炎魔法を纏わせた。
「私も、私も出来るよ」
シルナもまた、慌てて杖を取り出し、水魔法を杖に纏わせた。
すると。
鬼の形相だった女性は、途端に顔色を変えた。
まさに豹変である。
「えっ…。魔導師…?」
「…そうだ。信じてもらえたか?」
「あ…そ、そうだったんですね。これは、失礼しました」
突然、敬語になった。
「ですが、いくら魔導師と言えども、今は外に出るのは危険ですよ」
「あぁ…。外出禁止令が出てるんだっけ?」
「はい。各地で非魔導師のアーリヤット人共が反乱を起こしているそうです」
…。
「魔導師かどうかなんて関係ないだろ?反乱には、アーリヤット人の魔導師も参加してるって…」
「そうですね。でも、それはきっと、アーリヤット人の非魔導師が扇動して、魔導師の方々をかどわかしたに決まってます」
「…」
世の中の悪いことは全部、非魔導師のせいだと思ってそうだな、この人。
それどころか。
「それもこれも…あんな下らないビラを撒いた、あの人達のせいです」
…ん?
ビラ?
「あんなデマを真に受ける、アーリヤット人もどうかしてますけど」
「えーと…。すまん、ビラとかデマとか…どういう意味なんだ?」
「え、知らないんですか?」
ご、ごめん。
アーリヤット皇国に着いたのは、ついさっきなもんで…。
でも、俺の予想が正しければ、そのビラって。
「キュレム様…いえ、裏切り者のキュレム・エフェメラルとルイーシュ・レイヴン・アルテミシアが、ナツキ皇王の生存を知らせるデマを、アーリヤット領全体にばら撒いたのです」
その女性は、憎々しげにそう言った。
「お前達、アーリヤット人だな?」
「えっ、えっ」
シルナ、たじたじ。
いや、「違います」ってちゃんと言えよ。
しかし、言いたくても言えない気持ちはよく分かる。
だって、その女性はさながら、授業中に居眠りをしている生徒を見つけた時の、イレースのような。
まるで、地獄の閻魔みたいな眼光で、俺達を睨みつけていたから。
怖っ。美人が台無し。
「何のつもりだ?外出禁止令が出ていることを知らないのかっ!?」
「え、えー…。いや…」
何のつもり…と言われても。
外出禁止令が出ているなんて…ついさっき知ったもんで。
「総督府に連行する」
「えっ」
その若い女性が、ガシッ、とシルナの腕を掴んだ。
捕獲、完了。
って、冗談言ってる場合か。
外出禁止令が出ていることは…たった今知ったが。
まさか、通りを歩いているだけで連行されるとは。
「ちょ、ちょちょちょ、待って!私は、私も羽久も、何も怪しいことなんて!」
「良いから、来い!薄汚いアーリヤット人め。お前もどうせ魔導師じゃないんだろう!」
「えぇぇぇ!違う、違うよ。話を聞い、」
「魔導師じゃない者の話など聞くものか!」
「いやぁぁぁ!羽久助けてぇぇぇぇ!」
涙目のシルナ。
…ったく、どいつもこいつも。
「俺もシルナも、魔導師だよ」
「え?」
「正真正銘の魔導師だ。…ほら」
俺は、杖を取り出してみせ。
マッチの火をつけるみたいに、杖の先に簡単な炎魔法を纏わせた。
「私も、私も出来るよ」
シルナもまた、慌てて杖を取り出し、水魔法を杖に纏わせた。
すると。
鬼の形相だった女性は、途端に顔色を変えた。
まさに豹変である。
「えっ…。魔導師…?」
「…そうだ。信じてもらえたか?」
「あ…そ、そうだったんですね。これは、失礼しました」
突然、敬語になった。
「ですが、いくら魔導師と言えども、今は外に出るのは危険ですよ」
「あぁ…。外出禁止令が出てるんだっけ?」
「はい。各地で非魔導師のアーリヤット人共が反乱を起こしているそうです」
…。
「魔導師かどうかなんて関係ないだろ?反乱には、アーリヤット人の魔導師も参加してるって…」
「そうですね。でも、それはきっと、アーリヤット人の非魔導師が扇動して、魔導師の方々をかどわかしたに決まってます」
「…」
世の中の悪いことは全部、非魔導師のせいだと思ってそうだな、この人。
それどころか。
「それもこれも…あんな下らないビラを撒いた、あの人達のせいです」
…ん?
ビラ?
「あんなデマを真に受ける、アーリヤット人もどうかしてますけど」
「えーと…。すまん、ビラとかデマとか…どういう意味なんだ?」
「え、知らないんですか?」
ご、ごめん。
アーリヤット皇国に着いたのは、ついさっきなもんで…。
でも、俺の予想が正しければ、そのビラって。
「キュレム様…いえ、裏切り者のキュレム・エフェメラルとルイーシュ・レイヴン・アルテミシアが、ナツキ皇王の生存を知らせるデマを、アーリヤット領全体にばら撒いたのです」
その女性は、憎々しげにそう言った。



