神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

アトラスとシュニィは普段、聖魔騎士団の魔導部隊隊舎の寮ではなく。

ルシェリート家の自宅に帰り、そこから聖魔騎士団に通っている。

自宅に可愛い子供達がいるのだから、帰らない訳にはいかないよなぁ?

「あぁ、アトラス君。シュニィちゃんもごめんね。アイナちゃんとレグルス君、大丈夫?」

「はい。エレンさんに…子守りの方に頼んできました。それに…二人共眠っているので、大丈夫かと…」

「そっか…」

朝まで、目を覚まさなければ良いな。

目が覚めて、父親も母親もいなかったら、きっと不安になって泣き出してしまうだろうから。

そのことを、シュニィも分かっているのだろう。

「大丈夫」と口では言いながらも、心配そうな表情だった。

こんな深夜に呼ばれることって、まずないもんな。

すると、

「ジュリス、くまちゃん」

「は?」

ベリクリーデが、ちょいちょい、と俺の服の裾を引っ張って、アトラスを指差した。

く…くまちゃん?なん、

「…アトラス、お前それ…何持ってんだ?」

「ん?…あぁ、くまちゃんだ」

アトラスは、何故か、小脇にぬいぐるみを抱えていた。

首に赤いリボンをつけた、可愛らしいくまのぬいぐるみを。

…何持ってんの?

「慌てて、つい持ってきてしまったようだ」

「…くまちゃん、持って寝てんの?」

「これを持ってあやしてやると、レグルスの寝付きが良いんだ」

ドヤ顔のアトラス。

あ、そういうこと…。子供を寝かしつけるのに、ぬいぐるみであやしてた訳ね。

イクメンっぷりを、遺憾無く発揮してくれる。

しかも、よく見たら。

アトラスとシュニィは、寝間着の上に上着だけを羽織って、慌てて駆けつけたらしく。

上着の袖の隙間から、二人が普段着ているらしいパジャマが覗いていた。

アトラスもシュニィも、お揃いのくまちゃん柄のパジャマを着ていた。

アトラスは水色、シュニィはピンクの色違いで。

…ったく。

仲の良さを見せつけてくれる。

「くまちゃん可愛いね、ジュリス」

…ベリクリーデ。

「あぁ…うん、そうだな…」

「私もお揃いのパジャマ、着たい。ねぇジュリス、私と一緒に、お揃いの、」

「却下する」

「…お揃いの、ヘビのパジャマを着て寝たかったのにー」

「なんでヘビなんだよ…!?」

そこはせめて…くまちゃんじゃなくても、うさぎとか、猫とか、犬とか、あるだろ?

ヘビのパジャマなんて、絶対御免、

「…よし、じゃあクロティルダに着てもらおっと」

「分かった、俺が着る。俺が着るから」

「ほんと?ありがとう、ジュリス」

畜生。

でも仕方ないだろ。ヘビだろうがカメだろうが、ヤモリだろうが。

クロティルダとお揃いのパジャマなんて、絶対、ベリクリーデに着させてなるものか。

「…あのー、すみません。本題に入っても良いですか?」

「はっ…」

ルーチェス・ナジュ・アンブローシアが、そっと挙手して言った。

「皆さん、心の中が思春期で、大変結構なんですが…」

誰の心の中が思春期だよ。

そんなつまんないことまで、読心しなくて良いっつーの。

「それはそれとして、一応これから真面目な話するんで、聞いてもらえます?」

「…あぁ、どうぞ」

「ありがとうございます」

…で、その真面目の話ってのは何だ?