神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

そりゃ、これまで何度も…俺達大人が不甲斐ないばかりに。

令月とすぐりに…もう、何度か分からないくらい協力してもらい、助けてもらったが。

それに…マシュリの心臓を取り戻す為に、異界の地である冥界にもついてきてもらった。

あの時のことを思えば、今更子供扱いする…のも変な話かもしれない。

「でもな…。お前達を巻き込みたくないっていう気持ちを分かって欲しいんだ」

「あぁ、そう。分かった」

「気持ちだけはタダだもんねー」

…もっと真剣に受け取ってくれないか。

これでも本心なんだよ。

お前達にとっては、頼りなくて不甲斐ない大人かもしれないけども。

「あのな…。いつも言ってるけど、お前達はまだ子供で、」

「無駄ですよ、羽久さん」

「ナジュ?」

ナジュは、呆れた様子で令月とすぐりを見ていた。

「この二人、何が何でもついていくつもりですから。潔く同行を認めた方が良いです」

「だ、だけど」

「何なら、暗殺者の血が騒いでるのか、『いっそイシュメル女王を暗殺すれば…』なんて考えてますよ」

「落ち着け、お前ら。そんな短絡的なことを考えるんじゃない」

マジでやりかねないから、恐ろしい。

やめてくれ。頼むから。

「向こうには、『玉響』がいるんでしょ?」

「すぐり…?」

すぐりは真面目な顔で、そう尋ねた。

『玉響』…。『アメノミコト』の暗殺者である。

俺達が知っている…あの『玉響』のクローン…。

「だったら、『玉響』を止められるのは、俺と『八千代』しかいない」

「…すぐり、でも…それは」

「これは俺が…俺達がやらなきゃいけないことなんだ。いくら羽久せんせーでも、学院長せんせーでも、止める権利なんてないよ」

「…」

決意は堅いようだな。

それなら…いくら俺達が止めようとしても、無駄だ。

こっそり、勝手についてこられるよりは…最初から同行を認めた方がマシ、か。

畜生…。また、いつもの如く、令月とすぐりを巻き込むことに…。

不甲斐ない大人ですまない。

結局…この場にいる全員が、キルディリア魔王国軍との対決に同意した、ということになる。

何だろう。俄然、負ける気がしない。

慢心だと分かっているが。

このメンバーが揃ってたら、どんな絶望的な状況でも、「何とかなるのでは」と思ってしまうから不思議だ。

すると。

真面目な顔で、何やら思案していたシルナが。

ついに顔を上げ、意を決したように、ナジュに向かって声をかけた。

「…ナジュ君。ちょっと…お願いしたいことがあるんだけど」

「あぁ、はい。分かりました、良いですよ」

…即答。

これには、頼み事をしようとしたシルナも拍子抜け。

…あのな、ナジュ。

「…せめて、内容を聞いてから承諾したらどうなんだ?」

シルナが面食らってるじゃないか。

「え?だって、学院長が何を考えてるかなんて、僕にはお見通しですし…」

今日もお得意の読心魔法の才を、遺憾無く発揮しているようだな。

「それに、そういうことに関しては、この中で一番…僕が適任ですからね」

「何だよ?そういうこと、って…」

「指揮官ですよ。学院長は僕に、今回のキルディリア魔王国軍との戦闘指揮を執って欲しいと思ってるんです」

…何だって?