神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

フユリ様は、シルナに要請した。

どうか、キルディリア魔王国を止めてくれと。

イシュメル女王の暴挙を止め、アーリヤット皇国の民を解放してくれと。

そして…ナツキ様の身柄の返還も。

勿論、ルーデュニア聖王国に対する手出しもさせない。

イレースの言う通り。

調子に乗ったイシュメル女王の鼻面を、思いっきりぶん殴ってくれ、と。

フユリ様は、シルナにそう頼んできたのだ。

そして、シルナはそれを承諾した。

「…イシュメル女王の思い通りにはさせない。ルーデュニア聖王国は、私達の手で守る」

「シルナ…」

「…みんな、協力してくれるかな?」

シルナは、俺達の顔色を窺うように尋ねた。

…馬鹿。

「そんなこと…。いちいち聞くまでもないだろ」

「羽久…」

お前がそう決めたなら、俺も同じ道を選ぶよ。

そして、他の仲間達も、

「今まで、散々色々なことに巻き込んだ癖に、今更何を言ってるんです。いちいち聞くんじゃありません」

「い、イレースちゃん…」

相変わらず手厳しい。

すると次に、天音が。

「僕も…!僕も協力します」

「天音君…」

「怪我人の治療くらいしか…出来ないかもしれませんけど、でも、僕に出来ることなら…」

「ありがとう…天音君。充分だよ」

後方支援も、この状況では必要不可欠だからな。

それから。

「僕も協力するよ」

「マシュリ君…」

「今の僕は、もう『HOME』ではないけれど…。このままアーリヤット皇国が滅びてしまうのは、寝覚めが悪い」

マシュリもまた、協力を申し出てくれた。

非常に頼もしい。

「相変わらず、学院長は謙虚ですね」

と、ナジュが言った。

「こういう時こそ、不死身の僕を頼るべきなのでは?弾除け、自爆、特攻、頼まれれば何でも引き受けますよ?」

なんか恐ろしいこと言ってるんだが?

お前、ふざけんなよ。

「そんなの駄目に決まってるでしょ、ナジュ君…」

「分かってます、分かってますよ。ただ、僕はこれでも生まれ故郷でずっと戦争してましたからね。参謀は任せてくださいよ」

自爆攻撃を敢行するつもりがないなら、参謀でも何でも、喜んで頼むよ。

イレースも天音も、マシュリも、それからナジュも、協力してくれるとのこと。

…で、一つ気になることがあるんだが。

「…お前ら、何やってんだ?」

「え?だって、戦争しに行くんでしょ?相応の準備をしておかないと」

「暗殺には慣れてるけど、戦争は初めてだもんねー」

元暗殺者組の令月とすぐりは、床に風呂敷を広げ。

色々な荷物を、せっせと詰め込んでいるところだった。

「…お前ら、まさかついてくるつもりじゃないだろうな?」

「は?」

「え?」

「は?」でも「え?」でもないんだよ。

何を当たり前のことを、と言わんばかりに。

「良いか、お前達はまだ子供なんだぞ。キルディリア魔王国軍と戦わせる訳にはいかな、」

「なんで?冥界にも一緒に行ったのに?なんでキルディリアの魔導師が相手だと駄目なの?」

「僕達、これまで何度もイーニシュフェルト魔導学院を守って、たくさん貢献してきたつもりだけど。その実績はなかったことにされてるの?」

ぐうの音も出ないんだけど、誰かこいつらを黙らせてくれないか?