案の定、フユリ様は悔しそうに、ぎゅっと両手を握り締め。
「…はい、その通りです。ベリクリーデさんの拉致の件を問い詰めても、『自分の預かり知るところではない』の一点張りで…」
「…そうですか…」
「…それどころか、キュレムさんとルイーシュさんというスパイをキルディリアに送り込んだことを、強く批難されました。キルディリアに対する敵対行為だと…」
…何が敵対行為、だ。
何が「預かり知るところではない」だ。
ベリクリーデを勝手に連れ去っておきながら。よく言う。
お前の指示だろ。どうせ。
「…面の皮が厚い、とはこのことですね」
と、舌打ち交じりのイレース。
まったくだ。
その面の皮の分厚さだけで、銃弾防げるんじゃないか?
すると。
「度重なる、キルディリア魔王国の…いえ、イシュメル女王の暴挙。アーリヤット皇国の民を傷つけ、暴力で従わせ…あまつさえ、皇王の命を盾にする卑劣な行為…」
フユリ様は目を伏せ、珍しく、怒りを滲ませた低い声で言った。
「挙げ句…。我が国の国民を…ベリクリーデさんを、勝手にキルディリア魔王国に連れ去り…。そのことさえ、あんな風にしらばっくれて…」
「…フユリ様…」
「…これ以上はもう、私の心が持ちそうにありません」
…驚いた。
フユリ様は普段、それが自国の民であろうとも、他国の民であろうとも。
困っている人がいれば、進んで手を差し伸べるような…そんな方なのに。
「お願いします、シルナ学院長…。ルーデュニア聖王国を代表して、キルディリア魔王国のこれ以上の暴挙を止めてください」
フユリ様は、シルナに向かって頭を下げ、そう頼んだ。
「…はい、その通りです。ベリクリーデさんの拉致の件を問い詰めても、『自分の預かり知るところではない』の一点張りで…」
「…そうですか…」
「…それどころか、キュレムさんとルイーシュさんというスパイをキルディリアに送り込んだことを、強く批難されました。キルディリアに対する敵対行為だと…」
…何が敵対行為、だ。
何が「預かり知るところではない」だ。
ベリクリーデを勝手に連れ去っておきながら。よく言う。
お前の指示だろ。どうせ。
「…面の皮が厚い、とはこのことですね」
と、舌打ち交じりのイレース。
まったくだ。
その面の皮の分厚さだけで、銃弾防げるんじゃないか?
すると。
「度重なる、キルディリア魔王国の…いえ、イシュメル女王の暴挙。アーリヤット皇国の民を傷つけ、暴力で従わせ…あまつさえ、皇王の命を盾にする卑劣な行為…」
フユリ様は目を伏せ、珍しく、怒りを滲ませた低い声で言った。
「挙げ句…。我が国の国民を…ベリクリーデさんを、勝手にキルディリア魔王国に連れ去り…。そのことさえ、あんな風にしらばっくれて…」
「…フユリ様…」
「…これ以上はもう、私の心が持ちそうにありません」
…驚いた。
フユリ様は普段、それが自国の民であろうとも、他国の民であろうとも。
困っている人がいれば、進んで手を差し伸べるような…そんな方なのに。
「お願いします、シルナ学院長…。ルーデュニア聖王国を代表して、キルディリア魔王国のこれ以上の暴挙を止めてください」
フユリ様は、シルナに向かって頭を下げ、そう頼んだ。



