神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

…何を勘違いしたのか。

シルナは机に顔を伏せ、必死に言い訳を始めた。

「ご、ご、ご、ごめんなさいイレースちゃん!これには…これには深い事情があるんだ!」

は?イレース?

俺をイレースだと勘違いしてるのか?

心に疚しいことがあるから、そんな勘違いをする。

「ほら、今、色々と心配なことがあるでしょ?キュレム君とルイーシュ君のこととか。ベリクリーデちゃんも連れ去られたって話だし!アーリヤット皇国のことも、フユリ様のことも大丈夫かなって、気になるでしょっ?」

「…」

「考えることが色々あったら、糖分が…そう、糖分が必要なんだよ!だから、こんな時こそ高級な、一粒500円くらいの、ちょっとお高めのチョコを食べることで、鋭気を回復しようと、」

「…シルナ」

「…へ?」

頭を庇って伏せていたシルナが。

がばっ、と顔を上げた。

「…」

「…」

そのまま、無言で見つめ合うこと数秒。

「…羽久?」

「…そうだよ」

「…イレースちゃんじゃないの?」

「違うよ…」

何を勘違いしてるんだ。

するとシルナは、俺だと気づくなり、けろっとして。

「なーんだ。いきなり入ってくるから、イレースちゃんかと思ったよ。もー、驚かせないでよ、羽久」

「勝手に勘違いしたのはそっちだろ…?」

俺のせいにしないでくれよ。

それから、イレースなら…。

「あー、良かった。イレースちゃんだったら、『またバクバクとチョコばかり食べて…。いっそ砂糖漬けにしてあげましょうか?』とか、強烈な嫌味を、」

「私が、何ですって?」

「うぴゃぁぁぁ!?」

実は、俺と一緒に学院長室に来ていたイレースが。

話は聞かせてもらった、とばかりに、俺の背後からスッと現れた。