…結局。
フユリ様は、これから公務があるからと、謁見を終えた。
別れ際、フユリ様は笑顔を見せ、「私のことは心配なさらなくて大丈夫です」と言った。
…だけど、それが虚勢であることは、俺の目にも、シルナの目にも明らかだった。
「フユリ様…。辛そうだったな」
「…そうだね…」
王宮からの帰り道。
俺とシルナは、とぼとぼと歩きながら話をした。
「イシュメル女王も…。…何考えてるんだろうな…」
これ以上の戦争行為は、最早侵略以外の何物でもない。
本気なのか?
本気で…アーリヤット皇国を攻め滅ぼそうと…。
もし、本当にそうなったらと、俺は想像してみた。
アーリヤット皇国の地図が塗り替えられて、第二のキルディリア魔王国になって。
そうすればキルディリア魔王国は、大陸でも一二を争う大国に成長するだろう。
かつてないほどの、超魔導師国家になるはすだ。
…すると、どうなるか?
アーリヤット皇国を吸収したイシュメル女王が、次にすることは何だろう?
…もしかして。
フユリ様は、敢えて「そのこと」は口にしなかったが。
本当に、アーリヤット皇国がキルディリア魔王国の領土になってしまったら。
イシュメル女王が、更なる領土の拡大を目論んでいるとしたら。
「アーリヤット皇国の次は…。今度は…」
「…そうだね。改めて、ルーデュニア聖王国に再度、攻め込んでくる可能性もある」
と、シルナははっきりと言った。
…。
…今度は、前回の時のような「生温い」攻撃では済まないだろうな。
最早、俺達の手には負えない規模の…大きな戦争になる。
「…っ…」
思わず、俺は身を震わせた。
考えたくなかった。そんなことは。
俺の…俺と、シルナの…イーニシュフェルト魔導学院の、平和な日常が脅かされるなんて…そんなこと…。
俺には…とても耐えられない。
すると。
「…大丈夫だよ、羽久」
情けなくも身を竦ませる俺の手を、シルナはそっと取った。
「君のことは、必ず私が守るから。君のことも…仲間達も、そして私達の学院も」
「シルナ…」
「だから大丈夫。安心して。私達の大事な家を、絶対に、キルディリア魔王国に奪わせたりしないから」
…不思議だな。
根拠がある訳じゃないのに、シルナがそう言うと、安心感が湧いてくる、
…いや、この安心感…シルナから伝わってくる、この頼もしい優しさは。
俺じゃなくて、「前の」俺が…そう感じているのかもしれないな。
シルナは、覚悟を決めている。
だったら、俺も覚悟を決めるよ。
愛するものを、守り抜く覚悟を。
「…分かった」
俺はシルナの手を、ぎゅっと握り返した。
俺だって、大切なものを奪われたくないからな。
「絶対に守ろう。この国は…イーニシュフェルト魔導学院は」
必要ならば、この戦争を止める為の手立てを…。
「うん。…そこで羽久。私、一つ思いついたことがあるんだけど」
「…思いついたこと?」
「ちょっと、聖魔騎士団魔導隊舎に寄っても良いかな?」
「え?別に…良いけど」
…聖魔騎士団?
そこに、一体何の用だ?
フユリ様は、これから公務があるからと、謁見を終えた。
別れ際、フユリ様は笑顔を見せ、「私のことは心配なさらなくて大丈夫です」と言った。
…だけど、それが虚勢であることは、俺の目にも、シルナの目にも明らかだった。
「フユリ様…。辛そうだったな」
「…そうだね…」
王宮からの帰り道。
俺とシルナは、とぼとぼと歩きながら話をした。
「イシュメル女王も…。…何考えてるんだろうな…」
これ以上の戦争行為は、最早侵略以外の何物でもない。
本気なのか?
本気で…アーリヤット皇国を攻め滅ぼそうと…。
もし、本当にそうなったらと、俺は想像してみた。
アーリヤット皇国の地図が塗り替えられて、第二のキルディリア魔王国になって。
そうすればキルディリア魔王国は、大陸でも一二を争う大国に成長するだろう。
かつてないほどの、超魔導師国家になるはすだ。
…すると、どうなるか?
アーリヤット皇国を吸収したイシュメル女王が、次にすることは何だろう?
…もしかして。
フユリ様は、敢えて「そのこと」は口にしなかったが。
本当に、アーリヤット皇国がキルディリア魔王国の領土になってしまったら。
イシュメル女王が、更なる領土の拡大を目論んでいるとしたら。
「アーリヤット皇国の次は…。今度は…」
「…そうだね。改めて、ルーデュニア聖王国に再度、攻め込んでくる可能性もある」
と、シルナははっきりと言った。
…。
…今度は、前回の時のような「生温い」攻撃では済まないだろうな。
最早、俺達の手には負えない規模の…大きな戦争になる。
「…っ…」
思わず、俺は身を震わせた。
考えたくなかった。そんなことは。
俺の…俺と、シルナの…イーニシュフェルト魔導学院の、平和な日常が脅かされるなんて…そんなこと…。
俺には…とても耐えられない。
すると。
「…大丈夫だよ、羽久」
情けなくも身を竦ませる俺の手を、シルナはそっと取った。
「君のことは、必ず私が守るから。君のことも…仲間達も、そして私達の学院も」
「シルナ…」
「だから大丈夫。安心して。私達の大事な家を、絶対に、キルディリア魔王国に奪わせたりしないから」
…不思議だな。
根拠がある訳じゃないのに、シルナがそう言うと、安心感が湧いてくる、
…いや、この安心感…シルナから伝わってくる、この頼もしい優しさは。
俺じゃなくて、「前の」俺が…そう感じているのかもしれないな。
シルナは、覚悟を決めている。
だったら、俺も覚悟を決めるよ。
愛するものを、守り抜く覚悟を。
「…分かった」
俺はシルナの手を、ぎゅっと握り返した。
俺だって、大切なものを奪われたくないからな。
「絶対に守ろう。この国は…イーニシュフェルト魔導学院は」
必要ならば、この戦争を止める為の手立てを…。
「うん。…そこで羽久。私、一つ思いついたことがあるんだけど」
「…思いついたこと?」
「ちょっと、聖魔騎士団魔導隊舎に寄っても良いかな?」
「え?別に…良いけど」
…聖魔騎士団?
そこに、一体何の用だ?



