神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

根拠がある訳じゃない。だから…これは、ベリクリーデお得意の「勘」のようなものだ。

ただ俺は、目の前にいるのがベリクリーデであって、ベリクリーデではないような。

ベリクリーデでもなければ、ベリーシュでもない。

別の誰かであるような…そんな錯覚に陥ったのだ。

ベリクリーデの中には、ベリクリーデとベリーシュの他にも、まだ人格があるのか?

羽久・グラスフィアの中に、複数の人格が共存しているように。

ベリクリーデの中にも…また、新しい他の人格が生まれようとしているのか。

…しかし。

「…私はベリクリーデだよ、ジュリス」

ベリクリーデは、そう答えた。

その姿は、いつものベリクリーデそのものだった。

「他の誰でもない。私、ベリクリーデだよ」

「…信じて良いんだな?」

「うん、信じて。私はいつだって、ジュリスのことが大好きなベリクリーデのままだよ」

「…そうか」

お前がそう言うなら、俺も信じるよ。

…しかし、クロティルダは、俺とは違った反応を見せた。

険しい顔で、じっとベリクリーデを見つめている。

…?

「クロティルダ、どうした?」

なんか気になることでもあるのか。

「…姫」

クロティルダは、重々しく口を開いた。

「ふぇ?」

「お前は…ベルーシャの、魂を、」

と、クロティルダが言いかけたその時。





「だっはぁ〜っ!やっと着いたぁぁぁ!」

「まったくですよ。…長かったですね」

目の前に、ぱっと、手品でも使ったかのように現れたのは。

キルディリア魔王国から、アーリヤット皇国領に派遣されていたはずの…キュレムとルイーシュの2人だった。