神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

しかし、そんな俺の挑発的な言葉は。

余計、ブラマンジュちゃんを怒らせるだけだったようで。

「戯言を…!この裏切り者!」

杖を取り出したブラマンジュちゃんは、その杖に怒りの炎を纏わせた。

いつの間にか、エリトール君までもが杖を握っていた。

二人共、やる気満々のようだ。

あれ。もしかして自分、マズくね?

「…ちょっと待て、落ち着け。こんなところでドンパチするのはよくな、」

「黙れっ!!」

「あぶなっ!!」

ブラマンジュちゃんは、燃え滾るマグマのような火球を放った。

俺は、それを床に飛び込むようにして避けた。

あんなもん、当たったら熱いじゃ済まんぞ。

まさに、ブラマンジュちゃんの怒りの炎。こぇぇ。

…って、言ってる場合か。

かくなる上は。

「ルイーシュ。脱出、脱出!」

俺は、ルイーシュに向かって叫んだ。

ここでブラマンジュちゃんとエリトール君と、真正面からぶつかるのは絶対に得策ではない。

逃げるが勝ち。

「もー…。キュレムさんが煽るからですよ?」

「そ…れは、悪かったって」

だって、ずっと我慢してたから。つい。

「まぁ、良いですけどね。…俺も同感でしたから」

…ルイーシュ。

ルイーシュは杖を取り出し、俺の服の襟首を掴んだ。

「じゃあ行きましょうか。…三十六計、逃げるに如かず、です」

おぉ、よろしく。

「っ、まっ…!」

「逃げるな!」

ルイーシュが何をしようとしているのか気づいて、ブラマンジュちゃんとエリトール君が止めようとしたが。

もう遅い。

「rtanspotr」

ルイーシュが、空間転移の魔法を使った。

次の瞬間。

「おっ…」

俺とルイーシュは、アーリヤット総督府の外に。

アーリヤット領の郊外に、瞬間移動していた。

…さすが。ルイーシュの空間魔法である。

とりあえず、追跡の難は逃れたな。

まぁ、まだ。完全に逃げられたとは言い難いが。

「…で、ここから何処に行きます?キュレムさん」

「決まってるだろ。…この国とは、もうおさらばだ」

俺達がスパイである…という正体を、あんなにも堂々と明かしてしまったからには。

最早、アーリヤット皇国領にはいられない。

じゃあ、何処に行くか。…なんて、決まってるよな。




「帰ろう。俺達の祖国…ルーデュニア聖王国に」