神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

あぁ。そういや、いたな。

「ルイーシュ様?そこにいらっしゃいますか?」

ブラマンジュちゃんだけでなく、どうやらエリトール君もいるらしい。

君達、大体ペアで活動してんな。

どうでも良いけど。今は。

「今朝から部屋にこもって…。一体どうしたんですか?具合が悪いんですか?」

「ルイーシュ様…。キュレム様、返事をしてください!」

ブラマンジュちゃとエリトール君が、再度呼びかけてくる。

どんどんと、さっきより強くノックしながら。

しかし、俺は当然答えないし。

ルイーシュもまた、扉の外からの呼びかけなど、気にも留めなかった。

「っ、駄目だ。返事をしてくれない…」

「何かあったのかしら?」

「分からない。…こうなったら…!」

もしかしたら、俺達が部屋の中で倒れてるんじゃないかとでも思ったのか。

「すみません、ルイーシュ様、キュレム様。失礼します!」

強引に、扉をこじ開けるようにして。

エリトール君を先頭に、ブラマンジュちゃんと共に、部屋に踏み込んできた。

丁度、その時だった。

大量にあった紙の、最後の1枚を書き終えたのは。

「…よっしゃあ!書き終わった!」

「おめでとうございます」

ぱちぱちぱち、とルイーシュが拍手してくれた。

ありがとう。めっちゃ手が痛い。

ようやく、ペンを机の上に放り投げると。

達成感と共に、じわじわと手の痛みが広がった。

この痛みが何だって言うんだ。

俺はやり遂げたのだから、こんなに心地良い痛みがあるか?

「…!?キュレム様、一体何を…!?」

部屋に踏み込んできたブラマンジュちゃんは、俺の周りに散らばっている、大量の紙に目を見開いた。

…やぁ、遅かったな。君達。

もう手遅れだよ。…色々とな。

「…残念だったな」

「…え…?」

「君等の思い通りにはさせない…」

何もかも自分の手中にあると思って。手のひらの上でコロコロしてると思って。

ドヤ顔して、良い気分でいるのかもしれないけどな。

手のひらの上だからって、簡単に握り潰されると思ったら、大きな間違いだぞ。

「…ルイーシュ、あとは頼む」

「仕方ないですね。…キュレムさんが頑張ったので、たまには、俺もやる気を出すとしましょうか」

おぉ、そうしてくれ。

ルイーシュは杖を取り出し、その杖を振った。

「rtanspotr」

ルイーシュが魔法を使うと、部屋中を埋め尽くさんばかりに、散らばっていた紙切れ達が、一瞬にして消えた。

「えっ…?」

突然消えた紙の束に、ブラマンジュちゃんもエリトール君も、目を丸くしていたが。

…気づくのが遅い。

更に、ルイーシュがもう一度、杖を振ると。

「eeleasr」

消えたたくさんの紙切れが、ぱっ、と姿を現した。



…アーリヤット皇国領の、上空に、である。

そして、次の瞬間。