俺は背中にベリクリーデを隠したまま、立ち上がった。
「ジュリス…」
「…大丈夫だ」
心配そうな声で俺を呼ぶベリクリーデに、俺はそう返した。
さっきから、クロティルダに守られっぱなしだが。
俺だって、ただ守られるだけではないぞ。
この程度の修羅場、これまで何度となく乗り越えてきた。
だから、今回も乗り越えてみせる。
「…俺に力を貸せ、『魔剣ティルフィング』」
俺は魔剣を召喚し、携えた。
力を出し惜しみするつもりはない。
ましてや今は、後ろにベリクリーデがいるのだから。
指一本、触れさせてなるものか。
出来れば、交戦は避けたかった。
ベリクリーデを見つけたら、可及的速やかに、こっそりと連れ帰るつもりだった。
ここは敵地のど真ん中で、しかも、イシュメル女王の根城なのだ。
長居すればするほど、状況は俺達に不利になっていく。
だから…見つかる前に、さっさとずらかりたかったのだが。
残念ながら、そうは行かなかったようだ。
「…」
黒装束の糸魔法使いは、無言で、両手に糸を絡ませ。
じっと、俺を見つめていた。
その眼差しに、何故か、俺はぞっとした。
思わず、息を呑んでしまった。
…何だ?この嫌な感じ。
殺気を向けられている訳じゃない。
今更、殺気を向けられたくらいじゃ、俺はビビらない。だから殺気じゃない。
そうじゃなくて、まるで…心の中を、丸裸にされているような。
「…それは当たりですよ。ジュリス・レティーナ」
「えっ」
黒装束の男が、ポツリと呟くように言った。
「僕は、新たな力を得ました…。もう誰にも、決して負けない…劣らない力を…」
「…お前、何を…」
「だから、あなた達に勝ち目はありません」
…どういう意味だ?
一体何を…でも、どうして…。
「…ジュリス」
「え」
ベリクリーデが、いつの間にか。
俺の手を、両手でぎゅっと握っていた。
「大丈夫だよ」
「…ベリクリーデ…」
今度は、ベリクリーデが俺と同じことを言った。
ベリクリーデの言うことだから、相変わらず、何の根拠もなく。
多分お得意の、いつもの「勘」なのだろうが。
それでも、ベリクリーデには確信があった。
絶対に大丈夫、という。
ベリクリーデの強い意志、思いが、その両手から伝わってきた。
…そうか。…そうだな。
お前の言う通りだ。
「…分かった」
お前がそう信じるなら、俺も信じるよ。
動揺を抑え、俺は冷静に、剣を構え直した。
狼狽えれば、ますます相手の思う壺だ。
「…もう動揺を抑えましたか。…さすがですね」
お褒めに預かりどうも。
「お前、一体何者だ?『アメノミコト』の暗殺者が、何故ここにいる?」
ジャマ王国の暗殺者組織である『アメノミコト』の暗殺者が。
白昼堂々、このキルディリア魔王国のファニレス王宮で、我が物顔して現れるなんて。
「…まさか…」
俺の中に、恐ろしい考えが浮かんだ。
「ジュリス…」
「…大丈夫だ」
心配そうな声で俺を呼ぶベリクリーデに、俺はそう返した。
さっきから、クロティルダに守られっぱなしだが。
俺だって、ただ守られるだけではないぞ。
この程度の修羅場、これまで何度となく乗り越えてきた。
だから、今回も乗り越えてみせる。
「…俺に力を貸せ、『魔剣ティルフィング』」
俺は魔剣を召喚し、携えた。
力を出し惜しみするつもりはない。
ましてや今は、後ろにベリクリーデがいるのだから。
指一本、触れさせてなるものか。
出来れば、交戦は避けたかった。
ベリクリーデを見つけたら、可及的速やかに、こっそりと連れ帰るつもりだった。
ここは敵地のど真ん中で、しかも、イシュメル女王の根城なのだ。
長居すればするほど、状況は俺達に不利になっていく。
だから…見つかる前に、さっさとずらかりたかったのだが。
残念ながら、そうは行かなかったようだ。
「…」
黒装束の糸魔法使いは、無言で、両手に糸を絡ませ。
じっと、俺を見つめていた。
その眼差しに、何故か、俺はぞっとした。
思わず、息を呑んでしまった。
…何だ?この嫌な感じ。
殺気を向けられている訳じゃない。
今更、殺気を向けられたくらいじゃ、俺はビビらない。だから殺気じゃない。
そうじゃなくて、まるで…心の中を、丸裸にされているような。
「…それは当たりですよ。ジュリス・レティーナ」
「えっ」
黒装束の男が、ポツリと呟くように言った。
「僕は、新たな力を得ました…。もう誰にも、決して負けない…劣らない力を…」
「…お前、何を…」
「だから、あなた達に勝ち目はありません」
…どういう意味だ?
一体何を…でも、どうして…。
「…ジュリス」
「え」
ベリクリーデが、いつの間にか。
俺の手を、両手でぎゅっと握っていた。
「大丈夫だよ」
「…ベリクリーデ…」
今度は、ベリクリーデが俺と同じことを言った。
ベリクリーデの言うことだから、相変わらず、何の根拠もなく。
多分お得意の、いつもの「勘」なのだろうが。
それでも、ベリクリーデには確信があった。
絶対に大丈夫、という。
ベリクリーデの強い意志、思いが、その両手から伝わってきた。
…そうか。…そうだな。
お前の言う通りだ。
「…分かった」
お前がそう信じるなら、俺も信じるよ。
動揺を抑え、俺は冷静に、剣を構え直した。
狼狽えれば、ますます相手の思う壺だ。
「…もう動揺を抑えましたか。…さすがですね」
お褒めに預かりどうも。
「お前、一体何者だ?『アメノミコト』の暗殺者が、何故ここにいる?」
ジャマ王国の暗殺者組織である『アメノミコト』の暗殺者が。
白昼堂々、このキルディリア魔王国のファニレス王宮で、我が物顔して現れるなんて。
「…まさか…」
俺の中に、恐ろしい考えが浮かんだ。



