一体、何なんだ。
慌てて顔を上げ、クロティルダの睨む先を見ると。
そこにいたのは。
「…やはり、来ましたか」
見覚えのある、黒装束を身に着けた男だった。
…この黒装束…何処かで。
それだけじゃない。
この男から滲み出る、重々しくて粘っこい殺気。
目の前にいるはずなのに、まるでそこにいないかのように、気配はろくに感じられない。
無機質で無感情で、無慈悲な糸の刃。
その糸を、男は両手に絡ませたかと思うと。
まるで、クモが糸を噴き出すかのように。
自由自在に動き回る糸の刃が、俺とベリクリーデに襲いかかってきた。
「くっ…!」
「ジュリスっ…!」
「良いから、下がってろ…!」
俺は咄嗟にベリクリーデを庇い、背中に隠して身を低くした。
例え自分が貫かれたとしても。
ベリクリーデだけは、絶対に守ってみせる。
…しかし、その心配は必要なかった。
クロティルダがいたからだ。
クロティルダは、強靭な糸魔法にも、まったく怯む様子はなく。
片手に、銀色の蛇腹剣を持ち。
その蛇腹剣を振るって、敵の糸魔法を尽く切断した。
細い、透明な糸のようにしか見えないのに。
蛇腹剣で切り裂くと、ぶちんっ、ばちんっ、と重々しい音が鳴り渡った。
さっきから、クロティルダに助けられっぱなしだな。
それよりも…この糸。
これと似たものを、何処かで…
「あっ…」
…そうだ。この糸。
何処かで見覚えがあると思ったら。
「糸魔法…なのか?」
元『アメノミコト』の暗殺者。
花曇すぐりが、一番得意としている魔法…糸魔法だ。
俺もこれまで、長らく生きてきて、色々な魔法を見てきたが。
あれほど洗練され、手足のように使いこなす、練度の高い糸魔法を見たのは、花曇すぐりが初めてだった。
まさに自由自在、自分の手足よりも器用に、上手に操っている。
それを、まだ少年とも言うべき子供が使っているのだから、感嘆に値する。
そして、その花曇すぐりと酷似した糸魔法を、目の前の男も使いこなしていた。
いや…酷似している、となどという次元ではない。
花曇すぐりの使う糸魔法…そのもののような。
これはまるで、不自然なほど…同じ…。
花曇すぐり本人が、今、そこにいるかのような錯覚に陥って、背筋が冷たくなった。
そんなはずはないのに。
背格好も、魔力の質も、顔も、何もかも違うのに。
どうして、使う魔法はまったく同じ…。
そして、着ている黒装束もまた、元暗殺者達がいつも着ているものと同じだった。
…と、いうことは。この人物は。
「お前…。『アメノミコト』の暗殺者か?」
「…えぇ、そうです」
糸魔法使いの暗殺者は、冷たい声と眼差しで、そう答えた。
…やはり。
慌てて顔を上げ、クロティルダの睨む先を見ると。
そこにいたのは。
「…やはり、来ましたか」
見覚えのある、黒装束を身に着けた男だった。
…この黒装束…何処かで。
それだけじゃない。
この男から滲み出る、重々しくて粘っこい殺気。
目の前にいるはずなのに、まるでそこにいないかのように、気配はろくに感じられない。
無機質で無感情で、無慈悲な糸の刃。
その糸を、男は両手に絡ませたかと思うと。
まるで、クモが糸を噴き出すかのように。
自由自在に動き回る糸の刃が、俺とベリクリーデに襲いかかってきた。
「くっ…!」
「ジュリスっ…!」
「良いから、下がってろ…!」
俺は咄嗟にベリクリーデを庇い、背中に隠して身を低くした。
例え自分が貫かれたとしても。
ベリクリーデだけは、絶対に守ってみせる。
…しかし、その心配は必要なかった。
クロティルダがいたからだ。
クロティルダは、強靭な糸魔法にも、まったく怯む様子はなく。
片手に、銀色の蛇腹剣を持ち。
その蛇腹剣を振るって、敵の糸魔法を尽く切断した。
細い、透明な糸のようにしか見えないのに。
蛇腹剣で切り裂くと、ぶちんっ、ばちんっ、と重々しい音が鳴り渡った。
さっきから、クロティルダに助けられっぱなしだな。
それよりも…この糸。
これと似たものを、何処かで…
「あっ…」
…そうだ。この糸。
何処かで見覚えがあると思ったら。
「糸魔法…なのか?」
元『アメノミコト』の暗殺者。
花曇すぐりが、一番得意としている魔法…糸魔法だ。
俺もこれまで、長らく生きてきて、色々な魔法を見てきたが。
あれほど洗練され、手足のように使いこなす、練度の高い糸魔法を見たのは、花曇すぐりが初めてだった。
まさに自由自在、自分の手足よりも器用に、上手に操っている。
それを、まだ少年とも言うべき子供が使っているのだから、感嘆に値する。
そして、その花曇すぐりと酷似した糸魔法を、目の前の男も使いこなしていた。
いや…酷似している、となどという次元ではない。
花曇すぐりの使う糸魔法…そのもののような。
これはまるで、不自然なほど…同じ…。
花曇すぐり本人が、今、そこにいるかのような錯覚に陥って、背筋が冷たくなった。
そんなはずはないのに。
背格好も、魔力の質も、顔も、何もかも違うのに。
どうして、使う魔法はまったく同じ…。
そして、着ている黒装束もまた、元暗殺者達がいつも着ているものと同じだった。
…と、いうことは。この人物は。
「お前…。『アメノミコト』の暗殺者か?」
「…えぇ、そうです」
糸魔法使いの暗殺者は、冷たい声と眼差しで、そう答えた。
…やはり。



