神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

突然現れた人物…天使…に、一瞬心臓が止まりそうになったが。

しかし、よく見ると…ってか、よく見なくても。

その天使は、俺達もよく知っている天使だった。

「なんだ、クロッティかよ」

「…なんだ、とはなんだ」

あぁ、ごめん。ごめんな?

でも君、いつもジュリスに悪態つかれてる印象しかなくてさ。

あと、忘れてないぞ。

初対面の時、俺の制服のシャツに、カレーうどんのシミを作る原因を作った…あの時のことを。

カレーうどんの恨みは深い。

で、それはともかく。

「丁度良かった、クロッティ…。この際、クロッティでも良いや」

「どういう意味だ?」

「とりあえず、クロッティさん。キュウリまん、どうぞ」

ルイーシュは、緑色の中華まん…謎多きキュウリまん…を、クロティルダに差し出した。

毒見させようとすんなよ。

「…キュウリまん?なんだそれは」

知らなくて当然である。

俺もさっきまで、そんな中華まんが存在しているなんて知らなかった。

何なら、一生知らないままでも、充分生きていけたと思う。

「良いから、食べてみてください。美味しいですよ。…多分」

おい、ルイーシュ。

今、最後にぼそっと、聞き捨てならないこと言わなかったか?

「ふむ…。…何でも、ものは試しだ」

とか言って。

天使のクロティルダは、無警戒に、パクッとキュウリまんに齧りついた。

おい、マジかよ。

普通の人なら、「何これ?」と眉をひそめるであろう緑色のキュウリまんを。

何の躊躇いもなく、口に入れるとは。

命知らず過ぎる。さすがは天使。

その度量は尊敬するが、やっぱこの天使、アホだなーと思わなくもない。

「むぐ…。もぐもぐ…」

「…どう?」

カッパになった気分?

「…ふむ、悪くないぞ」

マジかよ。

「キュウリの水分で、生地がパサつかずにしっとりとしている。更に、瑞々しさと仄かな甘さを感じるな」

「…うわぁ…。キュウリまんにガチ食レポしてる。悪食…」

「…ルイーシュ、ドン引きをするな。買ってきたのはお前だろ」

美味しく食べてくれたんだから、むしろ感謝するべきなのでは?

…それと、ちょっと興味が出てきたから。

今度中華まん買いに出かけた時は、キュウリまん…買ってみようかな。と、思わなくもない。